日本には、さまざまな理由で親と離れ、家庭で生活できない子どもがたくさんいます。多くの子は施設で生活していますが、里親制度の下、里親家庭で養育されている子どももいます。子どもにとって、家庭で育つこと、大人になるまで特定の保護者が養育してくれることが、とても大切です。しかし、里親家庭の数は、家庭養護が必要な子どもの数に比べてまだまだ少ない現状です。里親として子どもを家庭に迎え入れ、養育することについて考えてみませんか。
里親制度Q&A
Q 「里親」は「養子縁組」とどう違いますか?
A 「里親」は、原則18歳になるまでの子どもを実親に代わって養育する制度です。
「養子縁組」は、民法に基づいて法的な親子関係を成立させる制度です。
(注釈)里親には、「養育里親」「養子縁組里親」などの種類があります。「養子縁組里親」は、子どもと特別養子縁組を結ぶことを前提としており、特別養子縁組が成立するまで里親として子どもを養育します。
Q 里親の養育期間はどのくらいですか?
A 子どもの状況に応じて、数泊など短期のこともあれば、年単位の長期のこともあります。
Q 養育する子どもの年齢は何歳くらいですか?
A 乳幼児から中高生まで、里親を必要としている子どもたちがたくさんいます。
里親委託中は養育や進学にかかる経済的な支援があります。
Q 里親になるために必要な資格や年齢制限はありますか?
A 特別な資格は必要ありませんが、所定の研修の受講など、一定の要件を満たす必要があります。年齢制限はありません。30代の方から自身の子育てが一段落した方まで、さまざまな年齢の方が里親として活躍しています。
「自分には里親は難しいな…」と感じる方もいると思います。まずは、身近な場所にも里親活動をしている人がいること、全国に里親を必要としている子どもがたくさんいることを知ってください。そして、近くに里親子がいたら、ぜひ温かく見守っていただきたいと思います。
里親制度について詳しくはこちらから
里親になるためには
一定以上の要件を満たした上で、児童相談所などでの手続きが必要です。
- 児童相談所へ相談
- 基礎研修の受講
- 里親申請書の提出
- 登録前研修の受講
- 児童相談所による家庭訪問調査
- 県児童福祉審議会で審議
- 登録
市内で里親として子どもを養育している方にお話を聞きました
養育里親Aさん(40代) 2018年に里親登録
いつも子どもからパワーをもらいます
嬉しかったこと
子どもを通じてできた多くの知り合いと、子育てについて共感し合えています。子育ての中でしか経験できない「子どもの成長」が見られ、充実感が得られます。
子どもの好きなところ
ポジティブで工作や踊りなど何でもチャレンジするところ。何事も楽しんで取り組む姿はキラキラしていて魅力的で、パワーをもらえます。
大変だったこと
子どもを途中から養育し始めたため、子どもが実年齢よりも幼い行動をとってしまい、何が一番適切な対応なのかと苦悩し、色んな戸惑いがありました。
家族の楽しい時間
家でまったりする時間や公園遊び、電車でのお出かけなど、子どもと話していると微笑ましい気持ちになり、自分の幼少期を思い出せます。価値観が広がり、新鮮で刺激的で全てが充実した時間だと感じられます。
養子縁組里親Bさん(40代) 2017年に里親登録
一緒に過ごす全てが楽しい時間
嬉しかったこと・大変だったこと
子どもと出会ったときから、毎日が本当に楽しく、幸せがずっと続いています。子どもが3歳半のときに養育を始め、1年くらいは子どもが私から離れず、ずっと抱っこしていましたが、寝付かないときは大変でした。遊び好きな子どもに色々な経験をさせたくて、市内の公園などたくさん出かけました。現在も、休みの日には遊びに連れて行っています。
子どもの好きなところ
毎日楽しそうに過ごしているところ。先生からも「授業中もニコニコしている、休み時間はもっと楽しそうに過ごしている」と教えてもらえました。
家族の楽しい時間
子どもと一緒に過ごしているだけで、全てが楽しい時間です。この子が本当にかわいくて大好きです。
里親を支援している方からのメッセージ
南はなみずき会 石井 敦さん(里親)
家庭を必要としている子どもたちを一緒に応援してほしい
県南児童相談所管内3市(戸田・川口・蕨)在住の里親・養親・ファミリーホームなどの有志が集う本会では、現在65組120人の仲間が交流や研修、自己啓発などの活動を実施しています。
日々のさまざまな悩みや喜びを共有しながら、「子どもの最善の利益」を合言葉に、お互いを励まし支え合っています。
皆さんの周りにも、厳しい環境でつらい思いをしている子どもたちがいるのではないでしょうか。里親や養親になるだけでなく、社会的養親に携わる仲間を理解・応援していただければ大変うれしいです。
済生会川口乳児院里親支援専門相談員 当間 玲子さん
里親が子どもに 自己肯定感・安心感を与える
入所児童の里親交流支援・里親研修受け入れ・相談対応などの仕事を、児童相談所と連携しながら実施しています。里親交流支援では、里親に施設での子どもの様子や子どもとの関わり方を伝え、里親子の関係づくりの手伝いをしています。
交流中は里親の顔を見る度に大泣きしていた子どもが、委託後の家庭訪問ではニコニコ笑顔で家の中を案内してくれました。「自分だけを見てくれる大人」の存在は、子どもに自己肯定感と安心感を与えるものだと感じます。
子どもとの生活は、山あり谷ありです。困った時は、気軽に施設にご連絡ください。一緒に考えていきましょう。
里親入門講座のご案内
里親に興味を持ったら、まずは里親入門講座に参加してみませんか。里親制度についての説明や、実際に里親として子どもを養育している方の体験談を聞くことができます。
とき
2023年10月28日(土曜日)、午後2時~4時
ところ
川口市 並木公民館 視聴覚室(川口市並木2-8-2)
お問い合わせ
埼玉県南児童相談所 電話番号 048-262-4152