戸田の昔話 第二話
弘法大師のゴマぼたもち
みなさんは、あの、おいしいゴマぼたもちをほっぺのおちるほど食べたことがあるでしょう。これはもう、むかしむかしのお話です。弘法大師さまといいます。それはえらいお坊さんが修行の旅に出て、日本中を歩いていたころのことです。荒川を渡り、ちょうど戸田あたりにやって来ました。そして、ある農家に立ち寄りました。えらいお坊さんが来たというので、ぼたもちをつくって、もてなそうとしましたが、あいにくその年は不作であずきがとれませんでした。そこで、しかたなくゴマをすりまして、ゴマのぼたもちをごちそうしました。弘法大師さまは「おいしい、おいしい」といって、たくさん食べられたといい、それからはゴマぼたもちが作られるようになったということです。
また、弘法大師さまについては、こんな話もあります。
ある日照りの時、通りかかりました弘法大師さまは農家の前にたちどまり、おばあさんにいいました。「おばあさんのどがかわいてこまっています。どうか、水を一杯飲ませてくださいな」、するとおばあさんは、みなりの貧しい旅のお坊さんを見て「あんれ、お気の毒様、おらん家には飲む水はねえよ」と、つれなく、ことわりました。それからいじわるをしたおばあさんの家の井戸からは飲み水は枯れてしまい、一滴もでなくなってしまったということです。
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