めるまが93(2019年2月8日配信)
今月の目次
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
競争に「共に」という理念がある
前々回のめるまがで「自治体間競争は自治体間共創にも結び付く」と言及しました。競争は「competition」です。共創は「co-creation」と英訳されることが多くあります。注目したいのは、競争にも共創にも「co」という言葉が入っていることです。この「co」は「共に」という意味です。Communication(交流)、Collaboration(協働)にもcoが入っています。
そのように考えると、単一企業だけでは競争できませんから、「co」が入ったと推察されます。つまり競争には「共に」という理念が組み込まれていると捉えてもいいでしょう。しばしば、自治体間競争を完全否定する人がいます。確かに否定する意図は分かりますが、競争の根底には「共に」という思想があるならば、闇雲に否定する必要はないと思います。
公民連携は競争に勝ち抜く自治体をつくり、共創によりイノベーションを創出していくというのが私の持論です。その意味で、私は公民連携に可能性を感じています。なお、イノベーション(新結合)は、経済学者であるシュンペーターの言葉です。同氏はイノベーションこそ資本主義の本質と説いています。新結合による変化が経済発展させると述べています。
シュンペーターはイノベーションを次の5パターンにわけています。それは(1)新しい商品・サービスの創出、(2)新しい生産方法の開発、(3)新しい市場の開拓、(4)原材料の新しい供給源の獲得、(5)新しい組織の実現、です。すべてを満たすのではなく、それぞれがイノベーションになります。新結合と言うと重たいですが「ちょっとした工夫」程度でよいと思います。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
シビックプライドの効果及び向上手段に関する基礎研究
戸田市政策研究所では、今年度において、株式会社読売広告社と「シビックプライドの効果及び向上手段に関する基礎研究」を行っています。
本市においても、いずれ人口減少へと転じることが予想される中、既存住民の転出抑制を重視する施策が求められております。また、住民の転出を抑制するためには、住民が街に愛着を持ち、よりよい場所として感じるような「シビックプライド」の向上が不可欠な要素といわれております。
そこで、本研究では戸田市と読売広告社が持つ双方の知見を持ち寄り、シビックプライドに関連する要因の洗い出し、住民の実態や感覚の把握、要因と効果の見える化を行います。
今年度の取り組みの一つとして、上戸田地域交流センター「あいパル」において、戸田市に在住・在勤の20代、30代を中心とした方々と「戸田市の未来をカタチにするワークショップ」を開催し、「戸田市がもっと好きに、ずっと住みたくなる街になるためにはどうすればいい?」をキーワードにイメージを広げ、ブロックで形にする取組を企画しております。
現在、参加されるメンバーが決定し、読売広告社と連携しながら、ワークショップの準備をしております。ワークショップ終了後には、結果をご報告いたします。
(主任研究員 川上 裕丈)
(3)戸田のここに注目!
戸田市は子育てを応援しています 市の子育て支援サービス
戸田市では、さまざまな子育て支援サービスに力を入れています。市役所だけでなく、市内の学校や団体なども協力し、子育てをサポートしています。今回は、そのサービスの一部を紹介します。
子育て応援ブックを発行しています
妊娠中から出産後まで使える、市の子育て支援情報をまとめた冊子です。主に出産した人、市に転入した人にお渡ししているほか、市の公共施設などでも配布しています。気になる各種手当、医療や保健の情報をはじめ、保育園や親子で遊べる施設・公園まで、幅広く掲載しています。
産前産後支援ヘルプサービスを実施しています
妊娠中から出産後1年未満の人の精神的な負担軽減のため、家事・育児ヘルパーを自宅に派遣する有料サービスです。食事の支度や洗濯、居室の掃除などの家事支援や、粉ミルクの授乳、おむつ交換などの育児支援を行っています。支払いには、3キュー子育てチケット(注釈)も使用できます。
(注釈)子育てサービスの支払いに使用できるチケット。3人目以降の子が生まれた世帯対象
親子ふれあい広場を開設しています
おおむね3歳未満の子とその保護者が遊べる広場として、月曜~金曜日の午前9時30分~午後0時30分に市内小学校の学童保育室などで開室しています。開室中の出入りは自由で、絵本やおもちゃなどを用意しているほか、常駐のアドバイザーに日常の悩みを相談することもできます。
(政策秘書室 橋田 真由美)
(4)戸田ゼミの取り組み
PPP財団の紹介
2月19日に開催予定の第7回では、一般財団法人地方自治体公民連携研究財団(以下、「PPP財団」という。)の専務理事にご講演をしていただく予定です。今回は、ご講演に先駆け、PPP財団について紹介します。
PPP財団は、公民連携(Public Private Partnership)による地域再生・活性化・住民満足の実現に向け、調査・研究・活動を展開しています。PPPに関連する有識者を擁する「地方自治体公民連携研究会」のアドバイザリー・監修のもと、現在日本全国34の自治体とPPPに関する共同研究・調査プロジェクト等を推進しており、全国の地域・政策課題を解決するためのPPP手法・スキーム等を自治体・企業・市民等と一緒に考え、実現に向けて動く非営利のPPP専門の研究財団・機関です。
埼玉県内の自治体との共同研究を見てみますと、北本市、ふじみ野市と実施しています(2019年2月1日PPP財団ホームページ調べ)。これらの共同研究は、「財政の健全化」「地域の活性化」「住民満足の実現」を目的に、豊かで持続的な社会に向けて幅広い視点から公民連携(PPP)の調査・提案を行っています。
また、こうした共同研究をきっかけに調査・提案・事業へと展開しています。研究のみで終了ではなく、それらの成果を踏まえた上で、各地域に必要なPPPを進めていくための方法を自治体と共に模索します。モデル調査や補助事業、委託事業となった事例については、中長期的な視点から持続的な仕組みの構築までを行い、息の長い連携・支援を継続しています。さらに、地域独自の課題・条件等を踏まえたきめ細やかな支援を行うだけでなく、各事例の成果を取りまとめ、情報発信することで普及にも努めているようです。
第7回では、こうした取組を推し進めているPPP財団に具体的な事例等をご講演いただくことになっています。講演の模様は、3月配信予定の次回めるまがにてご報告できるかと思いますので、楽しみにしていてください。
(研究員 千葉 尚樹)