めるまが88(2018年9月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
行政サービスの取捨選択
事業を減らしていく視点を考えます。自治体が実施する事業は、大きく2種類です。法定受託事務と自治事務です。法定受託事務と自治事務は、地方分権一括法により、地方自治法に規定されることになりました。法定受託事務を削減することはできません。そこで削減対象となるのは自治事務になります。まずは双方の事務数を明確に分けることから始めます。
ちなみに法定受託事務とは、法令によって国・埼玉県から戸田市に処理を委任されている事務になります。そして自治事務は法定受託事務以外の事務になります。繰り返しますが、双方の事務を洗い出し、自治事務をどれだけ減らせるかがポイントです。個人的な感想を出ませんが、自治体の行政サービスは肥大化してきました。これからは縮小していく時代です。
私の実家は、以前、その地域に生活する住民総出で、どぶさらいをしていました。それが地域コミュニティの醸成につながっていたと思います。私はどぶの中から500円を見つけたりして、ちょっとした小遣い稼ぎでした。ところが、今は実施していません。それは自治体が事業として実施しているからです。自治体は何でも行政サービスで対応してきました。
上記は一例ですが、行政サービスの対象が広すぎます。これからは行政サービスを取捨選択が求められます。まずは自治事務を再検討する必要があるでしょう。なお、本来は行政評価がしっかり機能していれば事業は減っていくはずです。または、議会が監視機能を発揮すれば事業は闇雲に拡大するはずはありません。しかし実際はそうなっていません。不思議です。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
「政策形成基礎研修」の開催
政策研究所では、名前の通り「政策」を「研究」する機能のほかに、「政策支援」の機能を有しています。政策支援機能としては、職員一人一人の政策形成能力の向上を目的とし、様々な取組を行っています。この「めるまが」で毎回紹介している自主勉強会戸田ゼミは、政策支援として実施している代表的な取組の一つとなっています。
今回は、政策支援として実施している「政策形成基礎研修」(人事課との共催)について、少し紹介したいと思います。
戸田市では、入庁1年目の新規採用職員に対して「市職員として必要とされる基礎的知識技能を習得させ、公務員としての心構えと職場への適応性を養う」ことを目的に、新規採用職員研修(後期)を開催しています。ここでは、接遇応対や文書作成のほか、政策づくりの基礎を学ぶ「政策形成基礎研修」を開催しており、政策づくりの重要性や問題発見に必要な視点などを学ぶ機会をつくっています。
政策づくりでは、問題を発見することが重要です。しかし、まずはこの問題を正確に把握することができないとその後の解決策が全く意味のない、場合によってはマイナスに働いてしまうことも考えられます。そこで、問題発見に必要な視点として(1)360度から考える、(2)先入観や偏見を捨てる、(3)数字を把握する――の三つを説明し、イメージや前例にとらわれない意識づくりを伝えているところです。入庁間もない時期では、まだまだ政策づくりに関わる機会が少ないかもしれません。しかし、早期の意識付けを行うことによって、その後の成長につながっていくと考えています。
(主任研究員 長谷川 昌之)
(3)戸田のここに注目!
私たちのまちを映画やドラマの舞台に!:戸田市フィルムコミッション協議会の活動
フィルムコミッションとは、映画などの撮影場所の誘致のため、情報提供や撮影支援をする窓口のことです。映像を通して市の多彩な情報や魅力を発信するとともに、市民の皆さんに地域への関心・愛着を持っていただくことを目的としています。今回は、市のフィルムコミッションの取り組みをご紹介します。
戸田がさまざまな映画やドラマの舞台になっています!
戸田市フィルムコミッション協議会は2011年にスタートしました。以来、市内での映画やテレビドラマなどの撮影をスムーズに進めるための窓口として、情報提供や必要な手続きの支援などを行っています。7年間で受けたお問い合わせ件数は1,200件以上、そのうち470件は、実際に映画やドラマ、CMなどの撮影が行われました。
ロケ物件を募集しています!
映像制作者からのさまざまな要望にできる限り対応するため、事務所や店舗、倉庫、土地などでロケーションのために使わせていただける物件を募集しています。ロケ物件は、綺麗で新しいものだけでなく、レトロなものや希少価値があるものも含まれます。市内で協力いただける人は、ぜひ登録をお願いします。
(政策秘書室 橋田 真由美)
(4)戸田ゼミの取り組み
今年度の戸田ゼミでは、年間の主なテーマとして「公民連携」について考えています。今回は、9月に予定しているNTTドコモ株式会社様による、公民連携に関する取組の講演に先駆け、振り返りとして今までの戸田ゼミの活動内容を紹介します。
第1回(5月21日)の報告
第1回では、戸田ゼミの座長であり、政策研究所の政策形成アドバイザーである牧瀬先生から「政策づくりの基本的視点と公民連携の概要」と題してご講演をいただきました。「公民連携」では、行政サービスの質的向上、行政サービスの量的向上、地域経済の活性化、地域活動の活性化、職員の事務負担の軽減、歳出の縮小、歳入の拡大などといった様々な効果が見込まれます。重要なのは、市としてどのような目的をもって公民連携を推し進めていくのかになります。
第2回(6月14日)の報告
第2回では、前回の政策形成アドバイザーによる「政策づくりの基本的視点と公民連携の概要」の講演内容を踏まえ、ゼミ参加者が他自治体で実施されている具体的な手法や取組、連携の効果などを発表し、議論を深めたところです。そのため、今回は「公民連携の具体的な手法や取組」を事前課題としてゼミ生各自でまとめてからゼミを実施することで、ゼミの時間以外にも学ぶ機会を設けて進めました。このように事前課題を設定することについては、インプットとアウトプットを効率よく行うことができ、受け身の学習よりも効果があるものと考えています。
第3回(7月26日)の報告
第3回では、リコージャパン株式会社様より「地方創生推進~オフィス課題の解決から地域課題の解決へ~」と題して講演をしていただきました。リコーグループでは、まちの課題に対してオフィスの課題解決ノウハウを活かし、可視化を実施しているとの説明がありました。この地域活性化に向けた「7つのまちづくりへの挑戦」と位置付けられているそれぞれの分野や、具体的な事例についても紹介していただきました。例えば、「にぎわいの創出」に関連するプロジェクタや映像を使った演出などの紹介では、大勢の方が楽しめる内容を実施することができ、汎用性の高い取組であることがわかりました。
第4回(9月20日)の案内
第4回では、NTTドコモ株式会社様にお願いし「NTTドコモにおける公民連携の取り組み(仮題)」をご講演いただく予定です。自治体と連携しながらまちづくりを進めている企業の方を講師としてお招きすることで、具体的な事例を学び、公民連携の在り方や新たな手法について考えていきます。
(研究員 千葉 尚樹)