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めるまが87(2018年8月10日配信)

掲載日:2018年11月6日更新

~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み

(1)政策形成アドバイザーの徒然

公民連携の前に事業を減らす

近年「公民連携」がキーワードになりつつあります。少し前は「産学官連携」という言葉がはやりました。また「新たな公」や「新しい公共」という概念もありました。そして近年は「公民連携」が流行っています。私には、言葉は異なるけれど、それぞれの概念に大きな差はないように感じます。これらに関連して「共創」や「協創」という言葉もあります。
公民連携の定義を自治体のホームページから確認します。宮崎市は「公民連携とは、行政と民間が連携して公共サービスの提供を行うことで、民間の創意工夫・技術力・資金を活用し、財政資金の効率的使用や行政の効率化等を図るものです」とあります。茅ヶ崎市は「公民連携とは、市と民間が相互に連携して市民サービスを提供することです」と定義しています。
今日、公民連携のメリットが多く指摘されています。様々な自治体のホームページを見ると、行政サービスの向上(向上は質的、量的があります)、地域経済の活性化、住民自治の実現、職員の事務負担の軽減、歳出の縮小、歳入の拡大など明記されています。これらのすべてを公民連携により達成するのではなく、自治体により目指す方向は異なると思います。
その中で一つ気になることがあります。それは公民連携の前提が「事業が維持される」「事業が増える」ということがあるようです。事業は仕事と換言してもよいでしょう。自治体の事業が減少していくのならば、公民連携に躍起になる必要はないかもしれません。その意味では(公民連携も大切ですが)、自治体の事業を減らしていく取り組みも重要と考えます。

(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)

(2)戸田市政策研究所の活動紹介

2018年度戸田市政策研究所研究テーマについて

今年度戸田市政策研究所では、次の三つのテーマについて研究活動に取り組んでいます。
1 戸田市におけるスポーツ・レクリエーションを軸とした〈交流型まちづくり〉に関する応用研究(2年目/2年間)
2 住民主体のまちづくりに関する調査研究(2年目/2年間)
3 データ分析に基づく戸田市の現状と課題~15万都市に向けた新たな施策の創造~
まず、1の研究は昨年度から2年間の研究として実施しています。レクリエーション関連資源(スポーツ・レジャー・文化・余暇活動に関するハード資源/ソフト資源)を利活用することで市民の交流意欲、まち意識情勢を促進し、戸田市版スポーツ・レクリエーションを軸とした交流型まちづくりのモデル化を目指すものです。今年度は昨年度の研究に加え、市民、関係者のヒアリング調査等を行うなど検討結果を総括し報告します。
次に、2の研究は昨年度から2年間の研究として実施しています。住民主体のまちづくり、戸田市流の「おしゃれ」についての研究です。7月15日に実証として戸田公園の高台広場を会場として住民主体(ボート関係者と連動して)のイベントを開催、参加者の多さから、市民ニーズの高さも感じました。今年度はその結果も踏まえながら、「おしゃれ」「シビックプライド」「市民参加」をキーワードとしたまちづくり、まちの魅力の向上及び創出について研究します。
最後に、3の研究は、推計人口により戸田市が15万人都市を迎えること、市の上位計画である「第5次総合振興計画」の策定を控えていることから、新たな政策等の検討材料のひとつとして、改めてデータの収集及び分析を行うことで、それに基づく戸田市の現状と課題を抽出するなど研究するものです。
異動で7月からの政策研究所、これまでの知識や経験を活かそうなどの気負いや固定観念は捨て、いちから学び取り組んでいきたいと思います。

(副所長 櫻井 聡)

(3)戸田のここに注目!

ボートのまち」である戸田市の取組をご紹介します

戸田市には、1964年に東京オリンピックの競技会場となった戸田ボートコースがあり、今も32の艇庫で学生や実業団が練習に励んでいます。今回は、そんなボートのまちの取組をご紹介します。

(7月15日開催)水辺で遊ぼう♪くらふとカーニバル
住民からの認知度は高いものの、普段利用する機会のない戸田ボートコース及び隣接する高台広場において、住民主導のイベントを開催しました。当日、戸田ボートコースでは17の大学ボート部が参加するレースが行われ、来場者は飲食を楽しみながら観戦していました。高台広場では、飾り付けられた聖火台を背景にライブイベントで盛り上がり、子どもたちとボート部学生が水鉄砲で水を掛け合う水かけまつりや艇庫スタンプラリーが人気でした。約2,000人の来場者を記録するなど、大盛況のうちにイベントは終了しました。
今後、より一層ボートマンとの交流を深め、ボートコースを市民にとって身近な場所にしていければと思います。
(7月21日開催)体感しよう!ボートのまち
イオンモール北戸田において、オリンピック2年前イベント「体感しよう!ボートのまち」を開催しました。これは、1964年のオリンピックボート競技会場であった戸田ボートコースのあるまちで、ボートを体感してもらうものです。
当日は大勢の参加者が訪れ、子どもを中心に多くの人がボート練習器具「エルゴメーター」を体験しました。参加者には、オリンピック・パラリンピック特製うちわが配られました。この体験を通して、今度は戸田ボートコースで漕いでくれる人や訪れる人が増えることを願っています。
東京2020オリンピックに向け、広報紙への掲載
市の広報紙では、2020年7月24日に開催される東京オリンピックを身近に感じ、機運を高めていただけるように、オリンピック・パラリンピックに関することや戸田ボートコースの歴史などについて3カ月に一度の連載で紹介しています。ぜひご覧ください。

(政策秘書室 千葉 尚樹)

(4)戸田ゼミの取り組み

第3回(7月26日)の報告

第3回では、リコージャパン株式会社様より「地方創生推進~オフィス課題の解決から地域課題の解決へ~」と題して講演をしていただきました。
「地域の元気無くして、民間企業の元気無し!!」
これは、今回の講演で最も印象に残ったフレーズです。その理由として、公民連携を進める行政のメリットは理解している反面、企業側のメリットを正確に理解できていなかったためです。今回、地方創生を進めていく目的を改めて振り返ることができ、人口減少の克服と地域経済の活性化は行政だけの問題ではなく、地域の元気が民間企業にもつながっていくことを学ぶことができました。
平均年齢の説明では、日本人の平均年齢が1980年代は33.5歳、2000年代は41.5歳、2015年は46.4歳と上昇しており、今後2030年には50.9歳になると予測されているとの話がありました。昔よりも確実に若々しくなっているとはいえ、これまで経験したことのない年齢構成となると、様々な影響が広がっていくであろうことを考えさせられたところです。
また、リコーグループでは、まちの課題に対してオフィスの課題解決ノウハウを活かし、可視化を実施しているとの説明がありました。地域活性化に向けて「7つのまちづくりへの挑戦」と位置付けられているそれぞれの分野や、具体的な事例についても紹介していただくことができました。例えば、「にぎわいの創出」に関しては、リコーグループの強みであるプロジェクタや映像を使った演出などの紹介があり、行政だけで実施するよりも大勢の方に楽しんでいただくことができる、汎用性の高い内容であることがわかりました。
また、個人的には、省エネやシルバー人材センターとの協業体制なども面白い取組であると感じ、幅広い分野で一緒にアイデアを出していくことで、更に課題解決につながる連携ができるのではないかと思ったところです。今後も、視野を広く持つことで、公民連携の可能性を探究していきたいと思います。

(主任研究員 長谷川 昌之)

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