めるまが81(2018年1月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
競争は共創につながっていく
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。ここ近年の私は、十二指腸潰瘍が続き吐血したり、石灰沈着性腱板炎により右肩に痛みが走ったり(今のところ激痛ではなく痛いだけ)、「加齢には勝てないな…」と実感しているところです。年齢相当の仕事をしていきたいと思っています。が、現実は、なかなかそうは行かないのですが…。
私は戸田市のシティセールスは「競争から共感のシティセールス」と捉えています。当初は競争を中心としたシティセールスに取り組み、現在では共感に重きをおいた取り組みとなっています。ここに戸田市の戦略性があります。「競争」に嫌悪感を抱く自治体職員がいます。それはそれでよいと思いますが、今回は「競争は共創につながる」ことを指摘します。
自治体間競争に勝ち残るためには、自治体の単独の力だけでは難しい現状があります。特に戸田市のような13万人規模では不可能です。そこで様々な主体と連携・協力して進めなくてはいけません。ここで言う共創とは「自治体が地域住民や民間企業、NPO法人、大学等の自治体外と『共』に活動して、イノベーションの『創』出につなげること」と捉えます。
2010年度に策定した「戸田市シティセールス戦略」の策定は、原則的に内部により進めています。そして戦略に基づき具体的な実行になると、様々な主体と連携・協力して進めている現状があります。自治体間「競争」に対応するためには、自治体と様々な「共創」が求められるのです。戸田市は共創が根底にあるからこそ、成功の軌道に乗っているのです。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
公益財団法人日本都市センターとの「おしゃれなまち」をテーマとした共同研究が順調に進んでいます。
昨年12月に開催された第2回研究会では、委員の先生方を戸田市にお招きし、現地調査とシビックプライドへの理解を深めました。現地調査では、水辺から創出される「おしゃれな都市空間」を探るため、戸田ボートコース、彩湖・道満グリーンパーク、笹目川を視察しました。その後、シビックプライドに関する講演では、シビックプライド研究会代表である伊藤香織先生(東京理科大学理工学部教授)から、都市のコミュニティデザインとして都市への誇りを高めるための一手法を先進事例から学びました。
研究会の議論の中で、伊藤先生からは、「戸田市は自由度が高いと感じた。自分でやりたいことを自由にできる予感がする。シーンとして美しくなりそう。」との感想がありました。また、研究会の座長である卯月盛夫先生(早稲田大学社会科学総合学術院教授)からは、「自然景観は素晴らしい。住民にとって「美しさ」が生活にどれだけ近いかが課題。」との指摘がありました。
目に見える”おしゃれ”だけでなく、文化的要素や人の意識・感性など、総合的に洗練された戸田市を創造するため、研究会では、今後も、市民3,000人を対象とした「ライフスタイルに関する調査」の実施、「水都大阪」「水都広島」の現地調査など、議論がますます深められていきます。市民にとって有益な研究結果が導出できるよう、委員の一人としてしっかりと取り組んでいきます。
(所長 梶山 浩)
(3)戸田のここに注目!
戸田市の「戸田ヶ原自然再生事業」の取組をご紹介します。
戸田市では、ふるさとの原風景「戸田ヶ原」を取り戻すため、市の花であるサクラソウを始めとしたさまざまな生きものを呼び戻し、人と自然がつながる、住み続けたいと思えるまちづくりを進めています。この取組が今年度で10周年を迎えました。その活動の一部をご紹介します。
戸田ヶ原自然再生事業10周年記念報告会
10年に渡る戸田ヶ原の自然再生事業の成果を振り返りました。当日は、これまでの歩みを写真で振り返り、戸田ヶ原サポーターや協力団体などによる発表を行いました。
戸田ヶ原自然再生の取組でよみがえる美しい自然
サクラソウは、2009年度に初めて戸田ヶ原自然再生エリア第1号地に約600株を植栽し、2017年4月には約15,000株まで増やすことができました。また、サクラソウ以外にも、戸田ヶ原には野の草花など、季節ごとに見応えがありますので、ぜひ足を運んでください。戸田ヶ原自然再生の詳しい内容については、ホームページをご覧ください。
(戸田ヶ原自然再生事業)
https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/213/kankyo-todagahara-saisei.html
(政策秘書室 柄澤 映)
(4)戸田ゼミの取り組み
2017年度の戸田ゼミでは、年間テーマとして「おしゃれ」について考えてきました。おしゃれには(1)気のきいた服や、けしょうなどをする(こと/人)。(2)しゃれたようす。すてき。最高―――などと辞書には載っています。今回、自治体に当てはめた場合のおしゃれとして(2)の捉え方などを深く検討してきたところです。
前半では、おしゃれなまちとはどこか、おしゃれの要素とは何かを議論しました。まず、おしゃれなまちとして意見の多かったのは、表参道やみなとみらいなど外見や機能性に優れ、尚且つ多くの人が集まっているまちでした。しかし、戸田市らしいおしゃれを考えた場合、デザイン性に優れたハード面を進めることも必要ですが、それ以上に住民や参加者・利用者が魅力的に感じて集い(利用し)、その場所やイベント自体に愛着や誇りを持ってもらう「シビックプライド」の要素が重要ではないかとの意見に辿り着いたところです。
後半では、シビックプライドに関する外部講演を開催し、おしゃれの要素を取り入れるべき場所や方法などを検討してきました。これまでの議論を通じて、戸田市らしいおしゃれとは何かの結論まで導き出すことはできておりません。しかし、まちの魅力である「水辺」と「住民参加」を掛け合わせることで、まちを楽しむ住民や参加者が増加し、シビックプライドが醸成されることによって、まちへの評価が高まり、戸田市らしいおしゃれなまちが形成されていくのではないかと考えます。今後、戸田ゼミでの仮説を共同研究にも生かしたいと考えています。
第7回(1月18日)の案内
次回の戸田ゼミでは、少しおしゃれから離れて「戸田市と他自治体のシティセールスに関する取組事例」について考えていきます。これまで参加していなかった方も参加しやすい回ですので、ぜひ積極的にご参加ください。
日時:1月18日
場所:市役所5階 大会議室C
(主任研究員 長谷川 昌之)