めるまが70(2017年1月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
目標の明確化が大切
明けましておめでとうございます。今年も戸田市政策研究所と私をよろしくお願いします。私は「今年も一歩成長」をモットーにしたいと思っています。また、私にとって、政策づくり(地域づくり)の集大成の年とも(勝手に)位置付けています。集大成が結実したら終わりというわけではありませんが、そういう意気込みで原点に戻り頑張りたいです。
前回は目標の共有化が大切と言うことを指摘しました。その前に、目標の明確化が重要です。めるまがに書く順序が逆になり、すみません。政策を成功させるためには「何をもって成功か」を明確にしなくてはいけません。これが曖昧なのです。「地域活性化」「賑わいの創出」「美しいまちづくり」などは、理念は賛成できるものの、成功の姿が不明瞭です。
目標を明確にするポイントを紹介します。第1に「大分類ではなく小分類で絞る」ことです。例えば「私は飲むことが好きです」と聞いても、読者はよく理解できないと思います。なぜならば「飲むこと」が大分類(大きすぎる)だからです。具体的とは「私のビールが好きです」という表現になります。ビールは小分類であり、イメージがわくでしょう。
第2に「数値化する」ことも大切です。例えば「私はかなりしんどい」と言われても、その「しんどさ」が伝わらないでしょう。なぜならば「かなり」という表現の解釈は人により異なるからです。一方で「私は7日間寝てなくてしんどい」と言われれば「7日間」という数字が認識でき「しんどさ」が伝わるはずです。このように数値化するのです。
今回は政策を成功の軌道に乗せるため、目標の明確化の重要性を言及しました。そして、既に指摘していますが、その設定した目標を関係者でしっかりと共有化していくことが大事です。具体的な目標を設定し、関係者間で共有し、同じ方向をみて一歩ずつ前進していくことが政策を成功させていく大きな秘訣と、私は考えています。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
2016年度戸田市政策研究所研究テーマの進捗状況について
今年度、戸田市政策研究所では、2つのテーマについて研究活動に取り組んでいます。
1 地域コミュニティの世代間断絶をつなぐ、女性の地域開業の可能性(1年目/2年間)
2 戸田市における20代・30代の若年層の居場所に関する応用研究(2年目/2年間)
1つ目の研究は、子育てを契機に地域活動やコミュニティへの参加経験を持つ女性を対象として、子育て期以降も継続して地域コミュニティに参加していただくために、女性の開業と新しい就業支援の可能性を検証する取り組みをしております。
今年度は、市内で活躍している女性や今後開業を検討している女性に対して、ヒアリング調査を実施し、女性の働き方として、フルタイムを求めている方は比較的少なく、自分の興味のある仕事をしたいという希望が多いことがわかりました。また、昨今プチ起業という括りでの働き方が増えてきており、こうしたニーズはかなり大きく、プチ起業の講座を開講した際、かなりの人数の申込みもあったことから、そのニーズの高さがわかりました。
一方で、フルタイムの事業者として働いている女性にとっては、プチ起業と同じにみられることを非常に嫌う傾向もあり、様々な働き方の中から、戸田市ではどういった方向性で支援すればよいかを検討していく必要があることもわかりました。
次に、2つ目の研究は、若年層に芽生えつつあるまちづくりへの意識を醸成するための仕掛けを研究し、若年層の居場所づくりに必要なポイントを見出す取り組みをしてきました。
今年度は、20代・30代の居場所づくりの試験的な取り組みとして、ワークショップを実施し、どういったメディアを活用すると20代・30代が参加していただける調査をするために、広報紙・市ホームページ・市SNS・ポスター・(市以外の)SNS・こくちーずなどによるメディアミックスを意識した広報を実施しました。
現在、効果を分析しておりますが、市以外のメディアからの参加者が多くいたことから、例えば、ポスター等も、行政らしくない目に留まるようなデザインを意識し、こうした目線を合わせるものが効果的であることがわかりました。
2つの件につきましては、年度末の成果発表会に向けて報告できるよう準備しております。
(主任研究員 川上 裕丈)
(3)戸田のここに注目!
“共感”No.1といえば戸田市!!
昨年10月、非常に興味深い調査結果が発表されました。住関連マーケティングに継続的に取り組んでいる株式会社読売広告社において、東京50キロ圏に住む男女に対して「街」「住まい」に関する意識の把握を目的として実施された「あなたの住む街の評価『シビックプライド』ランキング」です。
ここでは、街を評価するシビックプライド指標を「愛着」「共感」「誇り」「住み続けたい(居住意向)」「人に勧めたい(他者推奨)」の5つの要素から、ポイントの高かった順にランキングされています。
この5つの要素の中で「共感」は、戸田市が第1位となっています。「共感」の構想する意識として「このまちの住民の価値観に共感する」「このまちは自分に合っている」「このまちにいると楽しい」などがあり、市民の皆さんから「戸田市は自分に合っていて楽しい!いいね!」と感じていただいている証しではないかとプラスに捉えています。
自分のまちに誇りを持つ「シビックプライドの醸成」は、戸田市において重要視している項目の一つです。昨年10月1日、戸田市は市制施行50周年を迎え、市民の皆さんが都内(外)ではなく戸田市(内)を見つめ直す絶好の機会となりました。今後も、市民の皆さんに「共感」していただき、もっと戸田市のことを好きになるための仕掛けを考えていきたいと思います。
(主任研究員 長谷川 昌之)
(4)戸田ゼミの取り組み
第7回(12月19日)の報告
前回の戸田ゼミでは、事前課題として「戸田市の認知度向上のために、自分ができること」をレポート1枚にまとめ、レポート内容の発表を基に意見交換を行いました。ゼミにおいては、次の3点について多くの議論がありました。
まず、「戸田市の認知度」についてです。株式会社ブランド総合研究所の第11回地域ブランド調査2016では、1,000自治体中戸田市の認知度は500位となっており、あまり認知度が高い状況にはありません。この結果からは、戸田市としての認知度や魅力度を今後向上させていく必要があります。しかし、認知度が高い自治体が必ずしも人口や税収の増加につながっていないため、単純に認知度向上だけを目的に考えるだけでは足りず、その先の政策に結実させることが肝要であるとの意見がありました。
次に、「職員の情報発信」についてです。最近ではSNSの利用拡大により、職員個人からでも情報発信を気軽にできる社会になりました。市ホームページを閲覧していただくような受け身の取組よりも、SNSを利用して積極的に働きかける個人からの情報発信の方が、情報伝達手段として効果があるのではないかとの意見がありました。ただ、職員個人としての情報発信に関するルールづくりと徹底が必要ではないかという声もあったところです。
最後に、「職員の戸田市の理解度」についてです。戸田市は「子育て・教育のまち」としてイメージ戦略を展開していますが、どれだけ職員が戸田市の取組やデータを把握しており、戸田市の魅力を説明できるかは疑問があります。職員自身が戸田市のことを知り、説明できる状況になる必要があります。そのため、個人としての自主的な勉強や研修なども行う必要があるとの意見がありました。
上記のとおり、今年度初めて事前課題を設定して意見交換を行いました。やはり参加者同士で意見を交わすことによって様々な気づきがありましたので、こういった機会も今後つくっていきたいと思います。
(主任研究員 長谷川 昌之)