めるまが67(2016年10月11日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
目標(目的)の共有化が大事
最近私が実感していることを記します。それは、地域づくりは「目標の共有化が大事」ということです。
話はそれますが、既存の市民協働条例から協働の定義を拾ってみると、「市民と市がそれぞれの果たすべき役割を自覚することにより、相互に補完し、及び協力することをいう」や「市民、議会及び市長等が、それぞれの役割を理解し、自主性を尊重し、対等な立場で相互に補完し、協力することをいう」という定義があります。私は、これらの定義はやや画竜点睛を欠いていると思っています。
春日部市の協働の定義は「市民と市の機関とが目的を共有し、互いの役割及び責任に基づいて、信頼関係を構築し、対等な立場で補い合い、協力して行動することをいう」と記しています(春日部市市民参加推進条例)。この定義にある「目的を共有」がとても大切と、私は思っています。
今日、地域づくりは自治体だけでは達成できません。国は「産官学金労言」と言っています。地域を構成する様々な関係者が連絡し協力することで、地域づくりは成功します。
そして地域づくりを成功の軌道に乗せていくためには、様々な関係者の「目標の共有化」が大事と思います(春日部市は「目的」と記しています。私は厳密に言うと「目標」と思っています。目的と目標の違いは本連載で記したいと思います)。
例えば「富士山の山頂を目指そうね」と関係者間で目標が共有化できれば、登るルートは山梨側でも静岡側でもいいわけです。目標を共有化できていれば、道中でいつかは会うことができますし、最終的には同じ場所に到達します。
ただし目標が共有化できていても、しばしば摩擦が生じます。その理由は見える景色が違うからです。山梨から登っていると晴天で平坦な道の時があります。ちょうど同じ頃、静岡から進んでいると、場合によっては悪天候で険しい道を選択しているかもしれません。そういう異なった状況が多々あるため、「おいおい、なんか違うんじゃないか」と摩擦が生じるわけです。しかし目標さえしっかり共有化して、一歩ずつ前進していけば、必ず会うことができます。
ところが多くの地域づくりは目標が共有化できていない現状があります。ある主体は「富士山登ろうぜ!」と言っているのに、別の主体は「高尾山に行く♪」という感じが多い実態があります。その結果、いつまでたっても会うことができません。さらに言うと、目指す目標が違うため、ケンカしてしまうわけです。そうならないために、地域づくりは目標の共有化に注力することも大切です。「地域づくりは目標の共有化」も心がけるとよいと思います。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
市制施行50周年記念特別講演会「プラチナ構想スクール@戸田」『課題先進国』日本-プラチナ社会へ向けたイノベーション-
戸田市(戸田市政策研究所)では、市制施行50周年記念事業として「プラチナ構想スクール@戸田」を開催します。初回は特別講演会として、プラチナ構想ネットワーク会長(三菱総合研究所理事長、東京大学第28代総長)の小宮山宏氏をお招きします。
テーマは、エコで高齢者が参加し、一生を通じて成長を続け、雇用がある社会「プラチナ社会」に向けて、今何をしなければならないかです。皆さんの活動を振り返るきっかけを目指し、今より幸せな社会をつくるためのヒントを提供していただきます。
今回の講演会は、定員に達し次第受付終了となります。普段なかなか聴くことのできない貴重な講演ですので、めるまがを受信されている皆様からも積極的な申込みをお待ちしております。
【第1回プラチナ構想スクール@戸田】
1 日時 2016年10月27日(木曜)午後6時~午後8時
2 場所 戸田市文化会館3階 会議室304
3 講演内容
(1)演題.:「課題先進国」日本-プラチナ社会へ向けたイノベーション-
(2)講師:プラチナ構想ネットワーク会長 小宮山宏氏
4 申込方法
2016年10月18日(火曜)までに、電話又は電子メールで政策研究所(政策秘書室)までお申込みください。 (注釈)費用無料。申込順
詳しくは、市ホームページ(「プラチナ構想スクール@戸田」を開催:http://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/111/hisyo-platinum.html )をご覧ください。
(主任研究員 長谷川 昌之)
(3)戸田のここに注目!
安心安全なまちへ 公用車の青パト化計画完了!
戸田市では、平成16年に県内初の青色回転灯を装備した防犯パトロールカーを2台導入し、積極的な防犯活動に取り組んできました。そして、この度、埼玉県が展開している青色回転灯普及促進活動を利用し、市が所有する公用車27台を青色回転灯装備車両(青パト)として今年度新たに登録しました。所有台数29台は、県内でも最多となっています(平成28年10月1日現在)。
戸田市は、平成15年に市内の犯罪認知件数がピークを迎え、このままではいけないと様々な取り組みを行ってきました。平成16年には「戸田市みんなでつくる犯罪のないまち条例」を制定、この条例に基づき学識経験者や地域代表、事業者の方々で構成する「戸田市犯罪のないまちづくり協議会」を設置しました。まちが一体となって強力に防犯対策を推し進めた結果、昨年の刑法犯認知件数はピーク時の約3分の1にまで減少しています。
「まちを歩いているとよく青パトを見かけるから、何だか安心です」
そんな市民の声がたくさん寄せられるよう、防犯パトロールを強化し、市民が安全に、そして安心して暮らせるまちづくりを推進していきます。
(政策秘書室 生出 豊)
(4)戸田ゼミの取り組み
第4回(9月12日)「武蔵野銀行×戸田ゼミ」の報告
今年度の戸田ゼミでは、戸田市の現状を深く知りたいとの意見が多くあったことから、実際に地域で活躍されている他業種の方との交流をテーマの一つに掲げ、進めています。
第4回戸田ゼミでは、他業種交流の第一弾として、武蔵野銀行の方を講師にお招きし「地域金融機関の役割と現場の活動」について、ご講演いただきました。
戸田市では、昨年10月に県内でいち早く「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、その流れを受けて市内にある11の金融機関(2016年3月31日現在)全てと包括協定を締結しています。この中で、武蔵野銀行との協定では「相互の人材交流を促進し、研修・勉強会等による相互理解、双方の人材育成に取組むとともに、それぞれの社会的役割を共有し業務への展開を図ること」が含まれています。
協定締結で終わりになるのではなく、協定後の取組が重要です。今回の戸田ゼミでは、これまであまり知識のなかった地域金融機関として考えている役割や現場の活動について学ぶことができました。今後は、更に相互の人材交流や人材育成につながるよう、機会を見つけて交流したいと考えています。銀行のノウハウやネットワークと戸田ゼミが連携することによって、これまでにない新しい視点からの新たなイノベーションが生まれることを期待しています。
(主任研究員 長谷川 昌之)