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めるまが64(2016年7月11日配信)

掲載日:2016年12月8日更新

~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み

(1)政策形成アドバイザーの徒然

政策は利益と不利益を把握する
自治体(職員)は、前回紹介した「冷静な頭脳と温かい心」を心に持って政策づくりを進めます。その結果、住民や事業者など多くの主体に利益(恩恵)がもたらされます。この利益とは、メリットや正の効果、外部経済と称されます。ちなみに外部経済は経済学の用語になります。その意味は「産業全体の生産規模の拡大により、結果として市場が拡大し、また関連産業の発展などを通して、市場の外部で及ぼす利益」です。
政策を展開することによる影響は、利益(恩恵)の発生だけではありません。必ず不利益(被害)を受ける主体もでてきます。不利益は、デメリットや負の効果、外部不経済と称されます。外部不経済とは「産業全体の生産規模の拡大により、結果として市場が拡大し、また関連産業の発展などを通して、市場の外部で及ぼす不利益」です。例えば、交通渋滞や公害問題などがあげられます。政策効果は、利益と不利益が表裏一体の関係にあります。
「利益はでるけど、不利益も発生するから、政策は実施しない」という回答にはなりません。一つの考え方として「最大多数の最大幸福」があります。英国の法学者・哲学者のベンサムの考えであり、「できるだけ多くの人々に最大の幸福をもたらすことが善である」とする説になります。確かに不利益が発生するかもしれません。しかし利益のほうが大きく、地域全体として幸福感が増進するため、政策を実施していくのが一つの考え方です。
だからと言って、不利益を受ける主体を無視(放置)していいわけではありません。不利益の発生を予測したのならば、その不利益を小さくしていく政策(手段)も用意することが求められます。例えば、100人の住民がいるとします。政策実施により80人が利益を受けて、20人が不利益を受けると予測したとします。その場合は20人を対象に不利益を改善する政策も用意しておく必要があります。つまり政策は1回だけでは終了しないのです。シミュレーションをして、不利益を縮小するための政策も用意しておく必要があります。
ただしこれは理想論になります。不利益を予測し、次の一手を打とうと政策を用意しても、現実的には実施することはできません。なぜならば財源がつかないことが多いからです。そこで関係者に対する説明責任になります(「不利益は把握していますが、こういう理由で政策展開できません」と関係者に説明していきます)。財源はつかないかもしれませんが、しっかりと不利益を把握し、それをなくそうと努力することが求められます。

(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)

(2)戸田市政策研究所の活動紹介

「2016年度戸田市政策研究所研究テーマについて」
今年度戸田市政策研究所では、次の2つのテーマについて研究活動に取り組みます。
1 地域コミュニティの世代間断絶をつなぐ、女性の地域開業の可能性(1年目/2年間)
2 戸田市における20代・30代の若年層の居場所に関する応用研究(2年目/2年間)
まず1つ目の研究は、2016年度から2年間かけて実施します。研究では、子育てを契機に地域活動やコミュニティへの参加経験を持つ女性を対象として、子育てがひと段落した彼女らの就業希望と保有する生活情報を明らかにしていきます。そして、子育て期以降も地域コミュニティに継続して参加していただくために、女性の開業と新しい就業支援の可能性を検証していきます。
2つ目の研究は、2015年度から2年間の研究として実施しています。昨年度は、若年層を対象として戸田市での生活と消費行動を中心としたアンケート調査を実施しました。その結果、若年層の「地元」での居場所、居住地や消費空間に求めているもの等が明らかとなりました。
今年度は、この調査結果から判明した若年層に芽生えつつあるまちづくりへの意識を醸成するための学びの仕掛けを研究していくことで、若年層の居場所づくりに必要なポイントを見出していきます。
なお、それぞれの進捗状況については、今後「めるまが」の中で紹介していきます。

(主任研究員 長谷川 昌之)

(3)戸田のここに注目!

「戸田市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定しました!みんながつながるコミュニティアプリ「tocoぷり」
戸田市では、市民と行政との協働のまちづくりを進めるため、2014年12月からスマートフォン用アプリ「tocoぷり」の運用を開始しています。このアプリは、開発段階から市民の皆さんと共につくり上げたものであるなど、その開発過程や目的、アプリの機能は全国的にも珍しい行政アプリとなっています。今回は、この「tocoぷり」の機能などをご紹介します。
「tocoぷり」は、地図上に行政と市民の双方から様々な内容を写真付きで投稿できるアプリです。投稿には、利用者がコメントを付与することもできます。
「tocoぷり」の主な3つの機能
1 広報機能 イベント情報などの市政情報の配信
2 広聴機能 道路や施設の瑕疵情報などの収集
3 交流機能 地域で活動するサークル団体からのイベント周知や会員募集
このほかにも、「防災行政無線」「とだピースガードメール」「戸田市防災情報メール」などの防災・防犯に関する緊急情報をプッシュ通知で配信しています。これらの機能を用いて、住民同士の交流を促し、また、行政における広報・広聴機能の強化を図っています。
市ホームページ「みんながつながるコミュニティアプリtocoぷり」
https://www.city.toda.saitama.jp/soshiki/111/hisyo-tocoppri.html

(政策秘書室 生出 豊)

(4)戸田ゼミの取り組み

第2回(6月13日)の報告
第2回では、今年度の戸田ゼミで学びたいテーマについて参加者同士が意見を出し合いました。
過去1・2年の傾向として「シティセールス」や「情報発信手法」を学びたいとの要望が多くあり、今年度も依然として民間企業や先進事例を外部から取り入れたいとの声が多くありました。しかし、今年度は市外への発信だけでなく、実際の「現場を知りたい」との意見が多く、戸田市の現状を深く知りたいとの意欲が高いように感じられました。
また、外部講師を呼んでの1回完結型の講演だけでなく、地域で活躍されている方、ゼミ参加者や同年代の他業種の方の考えを聴き、意見交換を行いたいとの要望が多くありました。今後、これらの意見を踏まえてゼミの内容を検討していきたいと考えております。

第3回(7月25日)の案内
第3回は、戸田市の現状を知ることの第一弾として、戸田市の人口やその特徴、今後の課題などについて意見交換を行う予定です。
今回、戸田市の状況を見つめ直すことで、次回以降他業種の方と意見交換する際の材料の洗い出しを行いたいと考えております。特に、人口減少については行政だけの問題ではなく、お客様の減少という点で民間企業にも大きな影響があります。そういった行政を含めた今後の課題なども意識しながら議論していきます。
日時:7月25日(月曜)午後6時から
場所:市役所5階 大会議室B

(主任研究員 長谷川 昌之)

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