めるまが6(2010年10月12日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田市各課の紹介
(1)政策形成アドバイザーの徒然
自治体職員の給与削減を考える(続)
前回のめるまがで、昨今の「自治体職員の給与を削減しろ」という風潮に「おかしいんじゃないか」と問題提起をした。そして今回も、その続きである。自治体職員の給与を削減するための根拠には、様々おかしいことがある。その一つが前回指摘した「情勢適応の原則」である。そして今回は、自治体と民間の給与の格差について考えてみたい。
国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、民間企業のサラリーマンやOlが一年間に受け取った平均給与は、昨今では約430万円となっている。一方で自治体職員の平均給与は約710 万円(総務省発表)となっている。ちなみに国家公務員は約660万円である。この数字を根拠に某政党は、国家公務員の給与2割削減を実施しようとしている。
このめるまがの読者の中には、自治体職員が多いと思われる。読者の中に「私はそんなに(約710万円)もらっていない!」と思っている場合が少なくないのではないか。実は、これらの数字の算出根拠がおかしいようだ。私自身、まだ立証できていないため(現在、関係機関に照会中)、ここでは問題提起として記しておきたい。
国税庁のデータの前提にあるのは、正社員に加えパート従業員が対象となっている。そして労働力人口(15歳以上65歳未満)がサンプルとなっているようだ。一方で自治体職員の給与は、前提として正規職員のみであり、非正規職員は対象外のようである。しかも自治体の現場で正規職員として働くのは、15歳や64 歳はほとんどいないと考えられる。そのため、20歳前後から定年退職前の59歳が対象層となっていると推測される。
すなわち、民間と自治体のサンプルの前提条件が異なっている。民間企業はパート従業員を対象としており、しかも15歳や64歳も対象となっている。この前提で給与を計算すれば、当然、低くなるだろう。一方で自治体職員の条件下で給与を計算すれば、当然、給与は高くなるはずである。まだ完全に立証できていないが、問題提起として言及してみた。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
変わりゆくまちの姿 ―若いまちから老いたまちへの変貌―
戸田市は、現在、埼玉県内で最も平均年齢が低い(39.0歳)市です。しかし、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2035 年の老年人口が2005 年比増加率で、全国第10位にランキングされます。我が国の高齢化が世界で類を見ないスピードで進展していく中にあって、たいへん危機感を煽る推計結果です。
このため、政策研究所では、人口・経済・健康・施設・財政の視点から2035 年に向けた高齢者福祉施策の方向性を2年間かけて研究しています。2009 年の研究成果として特筆すべきは、市財政への影響です。比較的安定した財政基盤のある戸田市でも、収入では2010年比で約8億8千万円(約3パーセント減)の減収。支出では、介護保険・後期高齢者医療保険・国民健康保険の事業費が、2010 年比で約26 億7千万円(約155パーセント増)の増額が見込まれます。合計で約35 億5千万円の財政負担を招き、併せて今後、高齢者福祉施設の整備も計画していかなければならない等、課題は山積してきます。さらに、経常収支比率も、2008年度の72.8パーセントから2035 年には91.2パーセントに上昇し、財政の硬直化が進むと試算しています。
戸田市にとって、経験したことのない急速な高齢化の進展。近視眼的視点から超長期的視点に立ち、2009年の研究で得られた成果をもとに、元気な高齢者が地域で活躍できる仕組みづくりを模索しています。
(主任研究員 梶山 浩)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
今日、久しぶりに「あけび」を食べた。
紙袋いっぱいの実を頂いた時、最初は何か分からなかった。枝についた実は、小茄子ほどの大きさ、ほんのり紫色。かすかに匂いはするが、特段いい香りがするわけではない。アケビと聞いて、やっと思い出した。アケビを食べたのは、はるか昔の遠い記憶である。遠足で行った山に自生していたものを食べた。味の記憶は無い。
実を手で割って、中心の白い部分を口に入れてみる。ほんのり甘い。しばらくすると苦味が口中に広がる。あまり美味しいものではない。口に残った種はどうしたらいいのか。面倒なので全部食べてしまった。しばらくすると胃がチクチクした。
ネットで検索すると、どうやら種は吐き出すものらしい。興味がわいたので、続けて調べてみる。実は皮を料理して食べるということ、天ぷらや漬物、肉詰めなどが美味しいらしい。現在は栽培されたものが出荷され、全国生産量150tの大半が山形県産、山形では昔から食べられていた。等など多くのことがわかった。生産者のHPには、料理紹介や購入方法も紹介されるなど、地域の特産品になっているようだ。
昨今話題の、B級ご当地グルメコンテスト「B1グランプリ」が、9月に厚木市で開催され、来場者は43万人を超えた。翌週には、NHKの「クローズアップ現代」で「B級グルメが町を救う?」を放映していた。活性化のためにグランプリを目指すまちが増えている。上位に入賞すると多くの観光客が訪れ、新たなまちおこし策になるのだという。
B1グランプリで「アケビ料理」にお目にかかる日が近いかもなどと考えながら、もうひとつ食べた。
(主任研究員 山本義幸)
(4)戸田市各課の紹介
公園緑地課
戸田市は、都市部にありながら、多くの自然を有する市でもあります。そのため、市内の大規模公園の一つである彩湖・道満グリーンパークには年間100万人が訪れ、癒しの空間を満喫しています。しかし市全体としては、昭和60年の埼京線開通以来都市化が進み、当時田畑だった場所は、住宅地へと変容し田畑はほとんど姿を消してしまっています。そこで、公園緑地課では、潤いのある緑地空間の創造と、安らぎと潤いのある公園、緑地・緑道づくりを進めています。
課では様々な取り組みを行っていますが、今回は市民参画による公園づくりについて紹介します。戸田市では現在91.2haの区画整理事業を実施しています。そして、この区画整理事業区域には市民との協働による公園を9つ整備する予定です。公園計画を策定するためのワークショップには多くの市民の方が参加し、全6 回の開催で公園全体の整備テーマや各公園のコンセプトと整備方針を決定しました。
そして今年、かつて田園風景が広がっていた地区の原風景を未来へと保存することを目的とした芦原たんぼ公園が完成しました。完成した公園内のたんぼでは、地域の方による田植え、かかしの作成設置、稲刈りなどが実施され多くの交流の場となっています。今後も戸田市では、このように整備後も市民との協働による活用ができる公園づくりを進めていきます。
(主任研究員 山本 哲史)