めるまが39(2014年1月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
挑戦する組織
自治体シンクタンクの特長の一つとして、社会実験的なことが行える、または提言できる点があります。なぜならば、自治体シンクタンクは政策研究部門であるため、政策実施部門が提案するのと異なり、比較的、組織として冒険がしやすいからです。単に現場の実情を知らないと言うこともあります。けど、それはそれで、重要な要素と思います。
もちろん、「提言をするだけならば、民間のシンクタンクに任せればよい」との意見があります。しかしながら、外部であると自治体内にある「微妙な感覚(関係)」を把握することが困難であることが多々あります(これは筆者の経験です)。その結果、政策の反映性や実現性を伴わないアウトプットに終始してしまうことが往々にあります。この自治体内の微妙な感覚を把握する点が、自治体シンクタンクの持つ大きな特長でもあります。
また、政策を形成する過程で、総体的に自治体が試行錯誤的にレベルアップができる点も特長です。このことにより、自治体シンクタンクのない自治体より、政策の進化・深化が進む点が考えられます。自治体の政策力を高めるためには、基礎(学術)と応用(実践)を融合する必要があり、そこに自治体シンクタンクの存在意義があります。
これらをまとめると、自治体シンクタンクは挑戦していく組織でもあります。なお、「挑戦」の最後の「ん」を「い」にすると「調整」になってしまうため注意が必要です。政策を実現するためには多少の調整は必要です。しかし、調整が中心になってしまうと自治体シンクタンクの意義が失われてしまいます。自治体シンクタンクの挑戦力をとことんまで高めることが、最終的に団体自治を確立させる有効な一手段になると思われます。
(政策形成アドバイザー 牧瀬稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
「戸田市における子育て支援活動に対する相互ニーズに関する研究」
2012 年の住民基本台帳人口移動報告によると、全国の市町村の内7割以上が転出超過にある中、戸田市の人口転入超過数は1,633人で全国15番目に多い市であり、現在も転入超過が続いています。また、平均年齢が39.6歳(2013年1月現在)と県内で最も若く、都心に近く交通の利便性が良い等の理由から、子育て世代を中心に居住地として選ばれています。
一方、毎年1万人近くの人口流動があり、地域コミュニティの希薄化が課題となっていることから、子育て世代にとって住みよいまちづくりを進めることは、地域の絆を強め将来にわたって持続可能なまちへとつながると考えております。
本研究では、目白大学社会学部地域社会学科との共同研究により、「子育て世代とそれ以外の世代との共通点は何か」「子育て世代、それ以外の世代にとって必要なものに齟齬はないか」「誰のための支援になっているか」等、認知・利用・ニーズの差異を明らかにするため、アンケート調査を実施しました。
なお、本研究は今年度中に最終報告書をまとめ、研究結果については今年度の政策研究所シンポジウムで発表したいと考えております。
(研究員 長谷川昌之)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
新年あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
この年末年始、9連休を過ごされた方も多いと思います。私も連休を利用し、故郷へ帰省しました。帰省先は東北の地。さぞかし寒いだろうと、防寒グッズと雪遊び用の準備を整えて出発。渋滞を乗り越えながらの行程でした。
帰省先で年を越し、新年1月2日に訪れたスーパーマーケットで思わぬ出会いがありました。ご当地のゆるキャラ(の着ぐるみ)です。
初売りで混雑している店内で、来店客から握手や記念撮影を求められ、大人気でした。特設コーナーでは、エコバックやシール、ぬり絵など、様々なグッズが販売され、店内のベーカリーでは、作りの凝ったキャラクターパンまで売り出しており、しかも“売り切れ”でした(売り場の写真で、パンの見た目だけは確認できました)。
来店客の中にはキャラクターの名前を知らない方もいましたが、その場の盛り上がりを見ると、今後さらに認知され、住民の方の愛着も深まっていくのではと感じました。秘密の中身については、市職員ではなく、どうやら商工会関係者のようでしたが、ゆるキャラが持つ魅力や可能性を現場で実感した出来事でした。
帰省先でそのような盛り上がりが起きているとは知らず、驚きとちょっとうらやましい気持ちがありましたが、結局、その場の熱気と人の流れには逆らえず、しっかりと記念撮影を行いました。
(研究員 鈴木伸明)
(4)戸田ゼミの取り組み
第7回(12月16日)の報告
前回は、現役の国連職員としてパレスチナで活躍されている高橋宗瑠氏を講師として迎え、世界の情勢や外から見た日本、地方自治体等について講演をいただきました。参加者からは、他分野への視野を広げるきっかけになったとの意見をいただき、また、普段なかなか聞くことができない貴重な現場の話に真剣に耳を傾けていました。
全庁的に広く参加を募集する公開講座とした結果、ゼミ生以外の職員や他自治体からも多くの参加をいただき大変好評でした。
第8回(1月21日)の案内
戸田ゼミでは、有識者・学識者による講義のほかに、意見交換等を通じて、政策形成能力の向上を目指しています。
第8回では、第6回において「静岡県小山町の現状と課題」を話し合った内容を基に、レポート発表「静岡県小山町への事業提案」を行います。
日時:1月21日、午後6時から
場所:市役所4階市長公室
また、この戸田ゼミでは、他自治体職員の方との交流の場としても機能しています。参加を希望される方は、お気軽にご連絡ください。
(研究員 柄澤映)