めるまが26(2012年10月12日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
指示待ち職員でいいのだろうか
今年度は、お陰様で職員研修の講師を担当することが多くなっています。先月は14日間ほど話す機会に恵まれました(ちなみに私は自分をニート系だと思っています。なので、本当は人前で話すことは苦手です)。日々、様々な自治体にいき職員研修をしていると、多くの発見があります。今日は、その経験の中で、気がついたことを話したいと思います。
ある研修で、午前に政策づくりの理論を言及し、実例を紹介したりして、講義を一通り終えました。午後は、午前中の講義を受けてグループワークをしてもらいます。そこで、ある課題を提示したところ、A市はその課題を自分たちなりに解釈し、グループ内で積極的に意見交換し、課題をまとめようと動き出しました。そして、それなりの成果がでました。
一方で、B市においても午前はA市と同様な講義を行い、午後に同じ課題を提示しました。そして課題を発表して、すぐに研修生から「何をどうやるのか具体的に指示してほしい」や「まとめ方も詳細に教えてくれないとできない」などの要望がよせられました。この発言を耳にしたとき、「そこまで具体的に指示しないといないのか」と心の中で思いました。
まさに「指示待ち職員」です。結局、B市の研修では、一つひとつ具体的に指示をしていくこととなり、最終的に提示された成果も無味乾燥なものとなりました。私にとって無味乾燥でも、研修生が満足すればいいとは思っています。けど・・・。これからの時代は、指示待ち職員ではいけないと思います。読者の地方自治体の職員はどうでしょうか。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
高齢者を中心とした住宅確保要配慮者に対する住宅施策の充実に関する研究
昨年度から進めている標記研究については、今年度、目白大学社会学部地域社会学科との共同研究によりアンケート調査を実施しています。
この調査は、戸田市の65歳以上の市民、1,500人(無作為抽出)を対象とし、高齢者の住まいに関する意識のほか、生活状況や家族・地域との関係についての意識やニーズの把握に重点を置いています。「住まい」というと、まず思い浮かぶのは住宅施設等のハード面です。もちろん、住宅施設の整備も大切ですが、住まいは人の生活の基本的要素の一つであることから、生活の利便性、家族や地域とのつながりなどのソフト面の充実が、その人の住宅満足度に深く関わってくると考えられます。
そこで、本調査では、これらのソフト面の充実により生活の質の向上を図ることが住宅満足度の向上につながるのではないか、という仮説のもと、調査を進めているところです。
この調査により、高齢者が安心して暮らし続けるために必要な条件・要因を明らかにし、今後到来する超高齢社会の中で、戸田市が何をすべきかを探っていきます。
(研究員 佐藤 真由美)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
離婚偏差値
先日、市長とともに民間の金融機関系シンクタンク研究員の方のお話しを伺う機会があった。そのシンクタンクでは全自治体を826の都市圏に再編し、都市の機能を測る独自の指標による定量分析を行い、それをデータベース化し「都市力」をランキングしている。
緻密な分析や指標設定の方法などがとても素晴らしく、改めて勉強をさせていただくよい機会をいただけたと思う。ちなみに、本市のランキングは全国15 位/826 という結果で、分析内容は、現在は「若く活力ある物流拠点の都市」であるが、将来の急激な高齢化に向けた対応が必要であるというものであった。ここではその詳細は触れないが、ひとつ興味深い指標があったので紹介をしたい。「家族力」の指標として婚姻件数と離婚件数の偏差値があげられているのだが、戸田市は婚姻も多いが離婚が飛びぬけて高い。研究員の方も戸田市の特徴だと話されていた。偏差値は県内1 位。総務省の「日本の統計2012」をみても、離婚率の全国平均は1.99(平成22 年)、最も高いのは沖縄県で2.58、戸田市は2.80。東京に隣接する本市と似た状況の近隣市と比較しても確かに高い。婚姻率と離婚率の相関関係から相対離婚率を出すと0.33 であり埼玉県より低くなるのだが、今後シングルマザーの増加など離婚率が高いことによる市政への影響も出てくることが想定される。
ここのところ「まちコン」をはじめ、出会いの機会設定が盛んだが、これからはその先の離婚についても考えてみる必要があるのかなと、ふと思った次第。
(主任研究員 山本 義幸)
(4)戸田ゼミの取り組み
第5回(10月26日)のご案内
第5回は、「戸田市の産業政策に関する政策提言」と題し、各参加者が、1.何かしらの図書や報告書を最低1冊は読み、2.戸田市の産業の現状を既存のデータからしっかりと把握した上で政策形成に取り組みます。
なお、「政策」とは、行政が目指すべきまちづくりの方向や目的を示すものになります。「施策」とは、政策を実現するための方策と捉えられます。そして「事業」とは施策を実現させるための具体的な手段となります。
日時:10月26日、午後6時~
場所:市役所4階市長公室
ご案内
戸田ゼミは、自由参加型ゼミです。1回限りの参加でも結構です。外部の方でも結構です。興味がおありの方はお気軽にお問い合わせください。
今年度も、戸田ゼミでは外部団体等との交流会を募集しております。また、個人でのご参加もお待ちしております。
(研究員 鈴木 伸明)