めるまが15(2011年9月9日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
「地域自決権」の考え
基本的なスタンスとして、私が執筆してきた多くの図書は、戸田市のような「首都圏の自治体」を読者として想定しています。特に戸田市政策研究所との編著書は、その傾向が強くなっています。今日では、首都圏の多くの自治体において「選択と集中」や「都市間競争」などが現実味を帯びており、多くの読者が共感してくれるようです。
一方で、次のようなジレンマも抱えています。それは選択から外れる人々や、集中されなかった地域はどうしていけばいいのか。また、そもそも基礎体力がなく競争できない自治体もあります。全国の様々な地域を回ると、希望を抱けない地域も少なくなく、そのような地域に上記の言葉を投げかけても、共感を得ることはなく、虚しさだけが残ります。
しかしながら縮小時代を進んでいる日本は、否応なしに上記の状況がどの地域にも進展していく可能性があります。時代には逆らえず、選択と集中は進むと思います。そこで「連携と協力」という新しいシステムづくりが求められます。同時に競争も進んでいきます。そのような時代だからこそ、協力して創造していく「協創」という考えが必要になります。
ここで言及したことが「言うは易く行うは難し」ということは理解しています。ただ、いま私自身、様々な地域に入り込み、そのような仕組みづくりに取り組んでいるところです。そして何よりも、地域が後悔の残らない未来をつくっていくために、地域のことは地域で決めるという「地域自決権」という権利の確立が求められてきているのだと思います。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
少し振り返って、研究所の今後を考えてみる
戸田市政策研究所は今年で設置4年目を迎えた。設置目的である市の政策形成力の向上は、調査研究と政策支援の2つの機能を動かすことで漸進してきたのではないかと思う。
ここで少し活動を振り返り今後の方向について考えてみた。調査研究は、16テーマ(複数年の重複分除く)に取り組んでいる。政策支援機能は、「庁内政策相談窓口」の運用が若干不完全であるが、全ての取り組みを実施した。自主勉強会については、研究所主催の「戸田ゼミ」をきっかけに、ゼミメンバーの一部が発起人の新たな勉強会が設定された。研究成果の実現については、次長クラスで構成される「まちづくり戦略会議」との連携により、計画策定へと繋げる形ができた。
このように並べると、うまくいったことばかり書き連ねているようだが、いろいろと課題もある。まず、研究員が兼務であることの制約である。これは研究員の時間的負担と、研究の専門性確保である。特にPtメンバーについては、本来業務との兼ね合いで所属長との調整が重要である。また、研究の専門性については、専任の研究職がおらず、兼務の職員研究員であることでの専門性確保をどうするかである。これは、研究所アドバイザーの牧瀬先生の指導を頂くほか、研究に必要な外部アドバイザーをお願いしたり、大学との共同研究を実施するなど、外部の資源を活用する方向を探っている。
さて、今後の研究所の方向である。課題を解決しより円滑な活動を目指しここでは2点をあげておきたい。
まず調査研究では、プロジェクトチーム(担当課の職員を研究員として任命し調査研究を行いながら研究スキルを身につける)の活動を中心に据えたいと考えている。これは、従来、単独の組織で取り組みが難しかった、分野が広範にわたる(組織がまたがる)課題について有効と思うからだ。また、大学等専門機関との共同研究を進め、高いレベルの研究成果を目指すとともに、研究スキルなど専門性を得ることに力を入れたい。
次に、これは庁内の意思決定と実施のプロセス全体に係る課題であるが、研究成果の施策・事業化に向けた庁内の枠組みを、整理・明確にすることを進めたいと考えている。
4年目に入り、異動する研究員もでてきた。今後、研究所に関わることで身につけたスキルや考え方が様々な部署で発揮されることで、本市の政策形成力が上がっていくことを期待している。
(主任研究員 山本義幸)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
どこまで進むオートメーション化
先日、印刷工場を見学する機会があった。中に入ってびっくり、巨大な印刷機の轟音と高速印刷に圧倒された。大きな工場だが、建物内で作業をする人の数が随分少ない。工場内はオートメーション化が進み、コンピューターにより管理されているため、最低限の人員で稼働が可能とのこと。
最近はテレビでも生産現場である工場の裏側がよく取り上げられ、工場見学は一つの流行となっている。どの生産現場でもオートメーション化が進んでおり、その技術と精度には驚かされる。このようなオートメーション化はどこまで進歩していくのか。
自治体の業務はまだまだアナログ的なものが多い。自治体と生産現場では、業種も業態も業務内容も異なるが、「効率的に質の良いサービスを提供する」という姿勢は共通している。自治体は「効率的」という部分においては、民間企業にかなり差を広げられてしまっているのが現状である。
効率的になりすぎて行政サービスをおろそかにすることがあってはならないが、「質の良いサービス」だけではなく、これからは時代の変化に適した「業務の効率化」がますます重要になってくるだろう。
オートメーション化された工場を見て、人間の技術はこんなにも進歩しているのかと、改めて気付かされた。技術は常に進歩している。気がつけば自治体だけが時代や社会の変化から取り残されていた、なんてことにならないよう、自治体も常に時代や社会に適応していかなければならない。
(研究員 冨田涼二)
(4)戸田ゼミの取り組み
8月は、戸田ゼミはお休みでした。また、9月2日開催予定であった第4回戸田ゼミは、台風12号の影響により中止といたしました。次回以降の詳細につきましては、決定次第掲載いたします。
(研究員 佐藤 真由美)