めるまが14(2011年8月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
事業提案の視点
事業提案をしていくためには、さまざまな観点があります。ここでは、おおまかに3点にわけて紹介したいと思います。第1に、既存の事業を否定して、新しい事業を提案するという考えがあります。つまり、「今までの事業は効果がよくないため、一度、廃止にして、新しい事業のもとで取り組んでいく」という考えです。既存事業廃止型提案と言えます。
第2に、既存事業発展型提案があります。これは既存事業の効果が、少なからずあると判断し、それを発展させることで、より大きな効果を導出しようとする考えです。さまざま事業提案を観察すると、この既存事業発展型提案という形態が多いような気がします。なお、ここで言う「発展」とは、量の拡大ではなく、質の変化を意味します。
第3に、既存事業補完型提案があります。例えば、既存事業がいい感じで動いているが、何かが足りないため、大きな成果に至っていないという現状があります。そして、その「足りない何か」を見つけ出し、その足りない要素を提案していく内容となります。既存事業が当初の期待どおりにいかない場合は、実は、このパターンが多いと私は捉えています。
事業を提案する視点は「既存事業廃止型提案」「既存事業発展型提案」「既存事業補完型提案」と大きく3点にわけることができます。皆さんが取り組んでいる事業提案は、どのパターンに当てはまるでしょうか。何れの提案も、既存の行政評価の結果を参考としつつ、自分たちの視点からしっかりと評価することが大切ということは言うまでもありません。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
「ウォーキング・ランニングのまちづくり」の実現に向けて
今年度、政策研究所では政策企画として「ウォーキング・ランニングのまちづくり」に取り組みます。全国的なウォーキング・ランニングブームの高まりの中、戸田市では、荒川流域の自然と平坦な地形を活かし、市民が気軽にウォーキング・ランニングに参加できる環境づくりの研究を進めていきます。
本研究は、スポーツ振興、健康増進、道路整備と分野横断的な行政課題となり、また、コース選定にあたっては、産業連携、交通安全対策も取り入れる必要があるため、プロジェクトチームを編成しての研究となります。
ウォーキングやランニングを推進していくことにより、まちの活性化や市民の健康増進といった複合的な効果が期待できます。市内において誰もが気軽に楽しめるウォーキング・ランニングコースの選定、コースの整備方針を提言し、その効果を研究成果としてまとめていきたいと思います。
なお、戸田市では今年も11月20日に彩湖・道満グリーンパーク内で「戸田マラソンin彩湖2011」が開催されます。この大会は「全国ランニング大会100撰」に選ばれており、全国的にも非常に人気のある大会です。8月22日からは一般申込が始まりますので、興味のある方はぜひご参加ください。自然豊かな戸田市の彩湖を走ってみませんか。
(研究員 冨田涼二)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
先日、昔古典として学校で学んだ「徒然草」を読む機会がありました。作者は、科学的に説明のつかないようなことに対して「なぜ?」と自問自答し続け、自分なりのものの見方で鋭く分析しています。その自問自答の結果、徒然草の根底には「無常観」の思想が流れています。
「世の中の全てのことは、人力ではどうにもできない目に見えない力によって支配されている」と説く作者は、人の「生」も人の「世」も儚いものだからこそ、生きる価値があると言います。そして、人生は、今この瞬間にも通り過ぎていく短い時間の積み重ねであり、特別な時間の積み重ねではない。日常の短い時間の積み重ねだからこそ、「時間」というものの本当の価値を考え直すべきであると言っています。
今から約700年も前に書かれたこの随筆には、現代の私たちの生活にも参考になる様々な教訓が散りばめられているように思います。私が読んだのは一部の段ですが、仕事や生活に追われる社会の中で忘れていたものに気付かされ、生きるヒントも与えてもらったような気がしました。たまには古い書物に触れてみるのもいいものです。
日々の生活の中では、新しいことばかりが注目されがちですが、「温故知新」という言葉があるとおり、古きをたずねて新しきを知ることも大切なことだと、改めて感じました。今、自分がやるべきことを考え、それに向けて限りある時間を大切に使いたいと思います。
(研究員 佐藤真由美)
(4)戸田ゼミの取り組み
第3回戸田ゼミのご報告
第3回戸田ゼミは、前回に引き続き他自治体の市政の評価について、ゼミ生による事前課題の発表及び意見交換を行いました。ディスカッションでは、対象の首長の評価だけでなく、その他の革新派の首長の話まで議論が及びました。その中で、次回の議論のテーマとなるような「近年革新派の首長が出てこないのは何故か」や、「継続性のある改革をするためには何が必要なのか」などの意見が出されました。
このように、戸田ゼミでは通常の業務では経験することのできない議論の場としても機能しています。
第4回(9月2日)のご案内
次回の戸田ゼミは、第2回、3回と同様に事前課題(他市の市政の評価をA4用紙2枚以内で言及しまとめる)を基に発表及びディスカッションを行います。ゼミ生のほか、主任相当職以下の職員はどなたでも参加できますので、興味のある方はご連絡ください。
日時:9月2日、午後6時~
場所:大会議室A
戸田ゼミでは、他自治体職員の方との交流の場としても機能しており、参加者を募集しています。また、他自治体で実施されている自主勉強会とのコラボレーションも実施していますので、お気軽にご連絡ください。
(主任研究員 山本 哲史)