めるまが103(2020年1月10日配信)
今月の目次
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田のここに注目!
(4)戸田ゼミの取り組み
(1)政策形成アドバイザーの徒然
公民連携を前向きにとらえる
公民連携は、あらゆる行政分野で対応可能です。日光市(栃木県)は児童虐待の分野で公民連携を進めています。加賀市(石川県)はNPO法人とプログラミング教育の連携を推進しています。多くの公的部門で公民連携は可能です。その意味で考えると、自治体が政策(施策や事業を含む)を立案する時は、「公民連携は可能か」という発想を持つといいでしょう。
また、公民連携は、様々な主体と一緒に取り組むことができます。北上市(岩手県)や西条市(愛媛県)は高校生を対象に政策づくりを進めています。春日部市や鎌倉市(神奈川県)は地域金融機関と共同で調査研究を実施しました。「この分野での公民連携はできないだろう」や「この主体との公民連携は無理だろう」等とは、決して考えないほうがいいでしょう。
前提として「公民連携の可能性は無限にある」ということです。少しでも「公民連携はできないだろう」と考えた時点で、公民連携は前進していきません。どの公的分野や、どの主体であろうとも「どうすれば公民連携ができるか」という発想で進めていく必要があると考えます。そうは言っても、公民連携によるリスクもしっかりと予測しておく必要があります。
リスクとは、民間企業の倒産などによる公的分野からの急激な撤退が考えられます。民間企業に限らず、連携先の主体を通しての個人情報や機密情報の流出などもあります。さらに連携先の不祥事による自治体のイメージ低下も考えられます。そのほか多くのリスクがあります。それら一つひとつを洗い出し、対応を考えた上で、公民連携に取り組むべきでしょう。
「リスクがあるから公民連携には取り組まない」という発想はナンセンスです。確かにリスクはありますが、それ以上に得られることが多くあります。例えば、公的分野に「民」の思考(思想)が入ることにより、政策づくりにイノベーション(新機軸)が誘発されます。イノベーションは、自治体を次のステージに進ませる原動力となり、福祉を増進していきます。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
「戸田型15年教育」の実現に向けた調査研究
戸田市では、政策研究所のほかに会議体型の自治体シンクタンクとして「まちづくり戦略会議」があります。同戦略会議は、各部局の次長職を中心に構成し、市長から提示されたテーマについて調査研究に取り組んでいます。
今年度は「『戸田型15年教育』の実現に向けた調査研究」について、子どもに関連する部局から委員が任命され、現在進めているところです。また、同戦略会議の下部組織として、政策研究所内にワーキングチームを組織し、相互に連携しながら取り組んでいることも今回の特徴です。
戸田市では、教育委員会を中心に積極的な教育改革を推進しており、「教育のまち」として注目を集めています。今回は、部局の垣根を越えた「連携」を一つのキーワードとして、子どもの最善の利益を目指すべく、分野横断的に調査研究を進めています。現在、子どもに対する取組の見える化や課題の整理・共有、「戸田型15年教育」の実現に向けた理念などの検討を進めています。
まだ調査研究の最中ではありますが、子どもに対する問題や配慮が必要な子どもに対するフォロー体制など、連携して取り組むべき内容も徐々に明らかになりつつある状況です。教育による「人づくり」は、持続的に発展する戸田市を創ることにつながるため、引き続き関係者が一丸となり、戸田市らしい切れ目のない「15年教育」を研究していきたいと考えています。
調査研究は、年度内に方向性を示したいと考えています。今後、めるまがでも成果報告をさせていただく予定ですので、もうしばらくお待ちください。
(主任研究員 長谷川 昌之)
(3)戸田のここに注目!
戸田市の広報紙「広報戸田市」がリニューアル
1957年より定期発行され、今年で63年目を迎える「広報戸田市」。2020年1月号から、8年ぶりに全面リニューアルしました。今回は、新しくなった広報紙の3つのポイントをご紹介します。
表紙をおしゃれに
四季折々の美しい写真や市内のあっと驚く写真を複数配置し、良い意味で「広報紙らしくない」表紙を目指しています。
全ページフルカラーに
表紙や特集ページだけでなく、情報ページを2色からフルカラーに変更することでより見やすく、市民の皆さんの役に立つ情報を楽しく見やすくお届けすることを心掛けています。
新連載開始
親子で読んでいただけることを意識したページや漫画を用いたコラムを始めました。より幅広い年齢層に楽しんでいただければと思います。
その他にもレイアウトなども大きく見直しています。広報紙は市ホームページでもご覧いただけますので、ご一読いただけますと幸いです。また、ご意見ご感想もお待ちしておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。
【広報戸田市のページはこちら】
https://www.city.toda.saitama.jp/site/koho/koho2020.html
(政策秘書室 千葉 尚樹)
(4)戸田ゼミの取り組み
庁内自主勉強会「戸田ゼミ」は12年目を迎えています。これまでの取組を振り返りますと、年度ごとにタイムリーな学びのテーマを設定したり、参加者(若手職員)と他自治体や他業種の同世代との議論を行ったりするなど、工夫しながら無理なく取り組んできたことが分かります。
一方で、多くの自主勉強会(自主研究会)では学びの継続性が課題になるケースが見受けられます。その理由としては、立ち上げメンバーの状況変化や、新規参加者を獲得することの難しさなどがあると思います。他の自主研究会メンバーと話をすると、この点が常に話題となります。戸田ゼミでも最も苦労している点です。
戸田ゼミでは、参加者を若手職員に限定し、若手職員が参加しやすく意見の出しやすい環境づくりを目指しています。一方で、一定の年齢になると対象外(卒業)になってしまいます(事務局の私だけは例外として参加しています)。そのため、新規参加者の獲得が不可欠な状況です。
そこで、参加者を集めるため、新規採用職員用パンフレットに掲載したり、新規採用職員研修の合間で呼びかけたりするなど、地道に参加者を集めているところです。そのほか、先述したとおり楽しく学べるテーマを参加者と一緒に設定したり、普段関わりの少ない外部の知見を取り入れたりするなど、試行錯誤を繰り返しています。
現在、働き方改革の流れなども影響し、時間外活動への風当たりも強まりつつあります。しかし、担当業務以外のことを学びたいとのニーズは多くありますので、そのきっかけとしての役割をしっかりと果たし、職員の政策形成能力向上の一助となればと考えています。
今後も、いかに参加の一歩を踏み出してもらえるか、参加者と一緒に企画も考えながら進めていきたいと思います。
(主任研究員 長谷川 昌之)