めるまが10(2011年2月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田市各課の紹介
(1)政策形成アドバイザーの徒然
発想力の貧困と指示待ち傾向の関係
先日、M市の市長と懇談しました。その中で市長は「最近の若い職員は発想力がなくなってきている」や「若い職員の特徴として、指示待ち傾向が強くなっている」という発言がありました。私は「そんな職員はいないだろうなぁ・・・」なんて思っていました。が、よくよく考えると、様々な地方自治体に行っていると、総体的に少しずつ発想が貧弱で指示待ちの職員が多くなっている感じがします。
発想が乏しく(私は他人のことは言えませんが)、指示待ち職員に共通することは、視野が狭いという事実です。そして、そのような職員が多い地方自治体は、以前指摘した「自治体偏差値」が低い感じがします(あくまでも私見です)。この「発想力の貧困さ」と「指示待ち傾向が強く」なっていることは、私の仮説ですが、なんとなく相関関係が強い気がします。
発想が乏しい職員は、「次に何をしたら効率よく仕事ができるのだろう」とか「こういうサービスを提供すれば住民は喜んでくれるだろう」という思考が欠如しているのです。もし、先述した考えを確固として抱いていれば、誰に指示されることなく、積極的に行動を開始していくはずです。ここで言及した「発想貧困」&「指示待ち職員」が多い地方自治体は、これから激化してくる都市間競争には勝ち残れないかもしれません。
ちなみに、戸田市役所ではありません(念のため)。もちろん戸田市役所の中にも、発想が欠如していて指示待ち職員は存在すると思いますが、私が身近に接している職員には、そういう傾向はみられません。皆さんは率先して動き、先手を打って仕事をこなしています(しかも仕事が速い)。こういう職員が少なからずいる戸田市の10年後が楽しみです。
(政策形成アドバイザー 牧瀬稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
研究成果の施策・事業化についての課題
戸田市政策研究所が活動を始めて、はや3年が経過しようとしています。
この間、14の研究テーマに取り組んできましたが、ここでは、研究成果の施策・事業化の観点から振り返ってみました。
毎年、日本都市センターで「自治体シンクタンク交流会議」が開催されています。会議の席上、また自治体シンクタンクへの調査結果においても、自治体シンクタンクの多くが研究成果の施策・事業化を大きな課題として捉えていることがわかります。これは、シンクタンク自身の設置意義、存続にかかわる重要なテーマだからだと思います。
本研究所も同様に、研究成果の実現は大きな課題です。そこで、取り組んだ14テーマのうち、施策・事業化が可能なものの中から、うまく事業実施へと繋がった事例を3つ選び紹介しながら、事業化にあたり何が貢献したのかを考えてみました。
1.「池蝶貝を活用した水質浄化とブランド化に関する展望」(2008年度)
研究開始と同時に、国の「地方の元気再生事業」の申請を行い、補助金を獲得しながら取り組んだものです。埼玉県ボート協会と政策研究所が主体となり、環境省、埼玉県、戸田競艇組合、埼玉大学科学分析支援センターなど、多くの団体を巻き込み連携しながら研究を進めました。
補助金を得たことで大規模な事業展開が可能となり、化学分析技術など、研究所の持たない機能を外部に求めることで、研究成果を高めながら事業化が可能となった事例です。
2.「戸田市におけるシティセールスの必要性と成功する要件について」(2008、2009年度)
初年度は研究所により、2年目は研究所と「まちづくり戦略会議」(各部次長により構成される政策研究会議)が連携して研究を進めました。そして3年目に、まちづくり戦略会議により「戸田市シティセールス戦略」を策定、事業化への道筋をつけています。
研究所と戦略会議が密接に連携を図りながら、担当課での事業化や予算獲得など、実施にあたっての調整を戦略会議が担ったことが、スムーズな事業化に貢献したものと考えています。
3.「行政と大学の連携によるまちづくりの可能性について」(2009年度)
調査研究を進めながら、研究所が大学との窓口となることで先行的に関係を構築し、市と大学との連携へと発展させる手順をとりました。研究所が寄附講座やインターンシップ受け入れなど、パイロット事業に関与することで、その後の本格実施に円滑に繋げることができました。
実施に貢献した要素は、1では、トップダウン型の事業展開と外部機関・団体との連携、2は、庁内の一定の権限を持った者(次長)による会議体との連携、3は、同時並行で進めたパイロット事業の実施、です。
しかし、共通する一番大きな要素は、道筋をつけるため研究所が何らかの形で実施部分に関与したことです。研究所の守備範囲は、本来は調査研究から提言までであると考えています。しかし是非は別として、研究所が実施まで関与することで、円滑な事業化が可能となることも事実です。事業課は従来業務で非常に多忙です。新たな事業をすんなりと受け入れてくれることは少ないと思います。ある程度の道筋がつき展望が見えた方が、担当課の理解を得やすいということもあります。
重要なのは、研究所がどの程度関与し、どの段階でどのように担当課に引き継ぐのか、明確なプランと工程を描いておくことだと考えています。視点を変えれば、実施に関与できることが、組織内部設置型シンクタンクのメリットであるともいえるのですから。
今後は、研究成果の円滑な施策・事業化に向け、研究所の機能と事業実施に必要な資源(人事、組織、予算等)を配分・調整する仕組みとを、いかにリンクさせるかを検討していきたいと考えています。
(主任研究員 山本義幸)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
一年を振り返って
先日、和光市で実施している「政策法務研究会わこうど」の公開講座に参加させていただきました。テーマは「自学について」。未熟な私が参加するのは大変恐縮でしたが、「自学」の在り方を様々な視点から考え、皆さんとの討論の中で多くを学ぶことができました。
戸田ゼミが発足してから早3年。職員が政策形成力を身に付け、自学を効率的に進めるための場として実施をしてきた効果が、徐々に表れてきたように感じます。今年度は、戸田ゼミから派生して自主勉強グループ「ロープの会」ができるなど、あらためて「学びたい」という意欲・ニーズが多くの若手職員の中にあることが分かりました。
来年度は、これまでの活動に加え、他自治体職員との交流機会をより多く設け、新たな視点、発想を取り入れる場をつくるともに、ゼミ活動を通じた他自治体との連携も図っていければと思っています。
戸田ゼミは、職員の「学びたい」という意欲の受け皿であるとともに、庁内の横のつながりができ、新たなコミュニティが形成される場でもあります。そしてこのようなコミュニティが強固なものになることで、市が一丸となって様々な課題・政策形成に取り組む体制をつくることができると考えます。戸田ゼミの活動がその足がかりとなるよう、来年も頑張っていきたいと思います。
(研究員 佐藤 真由美)
(4)戸田市各課の紹介
経済振興課
商工業、観光などを担う経済振興課。その特徴的な事業を紹介します。
商工業の分野では、戸田ブランド事業として、市内の優良商品を推奨品として認定する「優良推奨品制度」や「商業名産品創出事業」を商工会と連携し展開しています。
また、住工混在が進む中、工業と市民との良好な関係を目指し、工業見える化事業として、「工業見える化マップ」「工業見える化プレート」を通して事業者側から積極的に情報を発信しています。街中にある「匠」プレートと「誇」プレート、ぜひ注目してご覧ください。
観光の分野では、「戸田橋花火大会」「戸田ボートコース」「彩湖・道満グリーンパーク」が本年度から地域産業資源として県認定となりました。特に花火大会は半世紀以上の伝統を誇り、同時開催の対岸の板橋とあわせて約100万人が訪れます。
また、昨年オープンの戸田公園駅前行政センター2階に、人・情報・モノのマッチングをコンセプトとした「戸田ビジネス・インフォメーション・コーナー(TBIC)」を設け、市内産業情報を集積、発信しています。
経済振興課は、まちの魅力を高め活力ある地域づくりを推進しています。
(研究員 鈴木 政徳)