めるまが1(2010年5月10日配信)
~今月の目次~
(1)政策形成アドバイザーの徒然
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
(4)戸田市各課の紹介
(1)政策形成アドバイザーの徒然
断る勇気も必要
年ごとに、私に講演や研修講師、また調査委託や大学非常勤講師などの依頼が多く届くようになってきました。「呼ばれるうちが花」と思って、できるだけお引き受けしています。けど、今年度は日程がバッテイングする場合も多く、泣く泣くお断りをすることも増えています。そして、何でも受け入れていると、私が「もたない」ことも、少しずつですが、実感するようになってきました(特に昨年度は体調不良日が少なくありませんでした)。
いま、国から地方へ分権が進んでいます。この潮流は、一時のものではなく、今後、ますます強くなってくると思います。国や都道府県からの分権という名の事務事業の移譲を基礎自治体はすべて受け入れています。それは事務事業を充実することが、住民の福祉の増進につながると信じているからです。しかし、果たして本当にそうでしょうか。住民にとって必要のない事務事業もあるのではないでしょうか。よく精査が必要と思います。
地域分権(地方分権)による過度の権限移譲は、基礎自治体の身体を壊しかねません。一つ具体的に言うと、職員数が減少する中での事務事業の増加は、職員を物質的にも精神的にも破壊しかねません。今「住民の福祉の増進」という視点に立って、必要ではないと判断した分権は「いりません」と断る勇気も必要ではないでしょうか。まさに「Noといえる地方自治体」です。そしてNoということが地方政府への変貌を意味すると思います。
(政策形成アドバイザー 牧瀬 稔)
(2)戸田市政策研究所の活動紹介
エッ!海なし県の埼玉で真珠が採れる!
この言葉は、上田清司埼玉県知事の「知事のとことん訪問」での言葉です。
戸田ボートコースは、東京五輪のボート競技会場として有名ですが、閉鎖水域で、かつ水の入替を行っていないため、水質の汚濁が目立っています。このため、埼玉県ボート協会では2006年度からイケチョウ貝という二枚貝を活用した水質浄化活動に取り組んでいます。政策研究所では、この活動をさらに発展させていくための方策について、県ボート協会・国立大学法人埼玉大学科学分析支援センターと協力し、研究を進めました。
この研究成果で特筆すべきは、科学分析支援センターの調査により、イケチョウ貝の水質浄化能力が明らかになったことです。イケチョウ貝1個体(100g)のろ過速度は約300m?/h で、貝が濾し取る浮遊物質は1日約70 ミリグラムとなります。また、水槽実験の結果、イケチョウ貝を投入した水槽は濁りが減少し、濁りの原因であるクロロフィル量が減少することがわかりました。さらに、イケチョウ貝からは色とりどりの淡水産真珠が採取でき、この真珠を活用してアクセサリー教室も開催しています。まさに“一石二鳥”といえるこの活動を全国の皆さんにもご欄いただければ幸いです。
参考図書:東京法令出版「政策開発の手法と実践」(牧瀬稔・戸田市政策研究所編著)
(主任研究員 梶山 浩)
(3)戸田市政策研究所研究員の徒然
新入を迎えて思うこと
新年度を迎え、我が市役所にも新人たちがやってきた。
戸田市では、今年31名の新入職員を迎えたが、若干緊張した後姿を見ていると、はるか昔の自分の姿を重ね合わせ、懐かしい気持ちがわいてくる。
そんな新人たちを、昼休みに食堂で観察していると「1ヶ月前まで学生してました。」といった幼い雰囲気を残す中に、彼らとは若干雰囲気を画した職員が混じっていることに気づく。話を聞くと彼らは社会人経験の採用者であった。専門職から一般事務職まで、少なくない人数が採用されており、他の自治体経験者の採用もあったようである。
以前、本研究所アドバイザーの牧瀬先生が、これまで民間のことと思われていた人材の流動化が、市役所レベルでも活発になっていることを話されていた。本年度は本市からも他自治体へ転職者があったようである。身近な場面で、人材の流動化を実感することができたわけだ。
さて、仕事にはじめて就いた人も、心機一転新たな職場を選んだ人も、これから数十年にわたる職業人としての生活が始まる。ここで自分の仕事についての考え方を確認してみることも必要かもしれない。
最近ネットサイト「一休.Com」の「一期一会」で、有森裕子のインタヴュー記事を読んだ。彼女は仕事についてこう語っている。「現役時代の私にとって、走ることは仕事でした。どんな仕事でも同じだと思いますが、仕事となればつらい面もあるし、楽しめない場合が多いです。」と。仕事の捉えかたは人によって違うだろうが、本質を言い得ていると思う。職場に配置され緊張の期間を過ごした新人たちには、五月病の気配も感じられる頃である。しかしわずか1ヶ月、長い職業人生活の第一歩にも達していない。今はとにかく自分の目の前にあること、やらねばならないことをやり遂げることだ。一つひとつクリアして経験値を上げていくしかない。仕事が自分に合っているか悩むより、自分を仕事にどうやって適応させるかを考えた方がいい。仕事を楽しむことができるようになるのはまだまだずっと先になる。これを書きながら自分を振り返り、まだ仕事を楽しめる場面というのは、ほとんど無いことに改めて気がついた。
(主任研究員 山本 義幸)
(4)戸田市各課の紹介
環境クリーン室
戸田市は「サステナブル都市調査」(日本経済新聞社)において、2007年に全国3位、2009年に全国16位と上位に位置し、環境、経済・財政、暮らしのバランスがとれた持続可能な都市として高く評価されています。また、2009年度に埼玉県が、環境施策の先進的な取り組みを実施している市町村を認定する「環境みらい都市」に県内で初めて認定されました。このように環境施策に力を入れている本市は、都心まで20km圏と利便性の高い市ですが、多くの水と緑の空間を有し、「都心に隣接したオアシス」のような都市を目指しています。
この豊かな都市環境を後世まで継いでいけるよう、地球温暖化対策を推進するために「戸田市地球温暖化対策条例」を県内の自治体では2番目に制定し、今年の6月から施行します。自治体独自で取り組める地球温暖化対策は限られていますが、市・市民・事業者それぞれが協力し合い、取り組みを進めることが重要です。
是非、環境行政に力を入れている本市を一度訪れていただき、「都心に隣接したオアシス」で癒しの時間を過ごしていただければと思います。
(主任研究員 山本 哲史)