第47回 市長の全力!まち取材
株式会社平山技研
所在地:戸田市早瀬1 -13-18
工作機械や産業機械部品の溶接加工がメイン。機械加工、板金・溶接・レーザー加工、表面処理などに幅広く対応でき、一点ものから量産まで手掛ける。高い精度の作業ができることを生かし、医療や航空・宇宙関連の部品もつくる。
精密な作業を買われて過去には宇宙関連部品も製造
今回取材に伺った「株式会社平山技研」では、機械加工、板金、溶接、レーザー、プレスなど多岐にわたる加工技術を提供しています。代表取締役の平山文明さんは「部品の製造を行う際にはプラスマイナス0.05ミリの精度で作業することもあります」と話します。これはレジ袋の薄さくらいという、ほんのわずかの誤差しかありません。小惑星探査機「はやぶさ」が2010年に地球に帰還したときのことを覚えているでしょうか。当時、小惑星で採集したサンプルを日本へ持ち運ぶのにアルミ製の密閉式の容器を使いました。この容器はサンプルを保護するため、真空状態にしなくてはならず、これを溶接したのが同社です。「アルミは溶接すると割れやすく、扱う会社が少ないんです」と平山さん。通常の溶接では、金属同士がくっつかないため、とても難しいミッションでしたが、検証を重ねて納期よりも早く完成させたと言います。
さまざまな機械や工具が所狭しと並んでいます。
溶接だけではなく製造工程全てに目配り
肉まんやホットドッグを保温する「ホットショーケース」。実はこれを日本で初めてつくったのが、株式会社平山技研の前身となった会社だそうです。1970年開催の大阪万博(日本万国博覧会)で最新の発明として展示したこともあるそうです。後に部品の製造に方向転換し、現在に至ります。金属加工はこれまで分業が当たり前で、自分の専門とする作業以外は把握しない会社が多いそうですが、平山技研は以前から、メインとする溶接だけでなくほかの作業まで目配りし、どうしたら顧客の望む製品をつくれるかアドバイスしてきました。「『こういう製品をつくりたいんだけど、全部一貫生産できますか?』と聞かれて『いいですよ』と要望に応えるのが、これからの溶接屋の形になる」と平山さんは予測します。若い人にも興味を持ってもらえる金属加工業を目指し、市内の事業者と「仲間としての横のつながりをつくりたい」と平山さんは話していました。
ホットショーケースは電気だけでなくガスで温めるものも開発・製造していました。
溶接を体験しました。金属同士をつなげる作業は激しい光を発するので、目を保護する「溶接面」を付けます。まっすぐくっつけたつもりが、平山さんのお手本と比べて曲がってしまいました。長年の経験が生み出す、匠の技のすばらしさを身をもって感じました。
これは何に使われる部品でしょうか? 答えは、地面を掘る「掘削機」で、先端のパーツです。金属の板をらせん状に曲げ、中心に棒を通しています。いびつになりやすく製造できる業者が少ないパーツですが、持ち前の技術力で対応します。
取材を終えて
平山技研の連携先の企業には、メッキをはじめ、市内の事業者も少なくないといいます。戸田市商工会の紹介で、市内の事業者と新たな取引につながったこともあるそうです。「戸田市工業見える化マップ」をご覧いただければ分かるように、市内にはものづくり産業が集積しています。戸田の職人の誇るべき技術が日本、ひいては世界まで支えていると実感しました。
株式会社平山技研さん、ご協力ありがとうございました!