第39回 市長の全力!まち取材
ロクハチ野球工房
所在地:戸田市上戸田3-8-14 高山ビル1F
2016年に開業した野球用品専門店。グローブの人気メーカー「ドナイヤ」埼玉県内初の取扱店となるなど、こだわりの野球用品を取りそろえる。店名の「ロクハチ」は、宇佐美さんのプロ野球時代の背番号68に由来する。
体やプレーに合わせた野球グローブを販売
元プロ野球選手が営む野球用品専門店「ロクハチ野球工房」では、グローブなど野球用品の販売・修理をしています。全国各地からさまざまなオーダーが来る中でも、特にグローブへの「湯もみ・型付け」サービスが人気で、新品のグローブを湯に浸して柔らかくした後、叩いたりもみ込んだりして、手になじみやすくする加工を行っています。新品のグローブは、最初は固くて使いにくいため、思ったように扱えず、プレーの上達を阻害することもあるそうです。グローブへの指の入れ方、ボールを受け止める位置などのヒアリングを行い、調整することで、顧客それぞれに合ったグローブをつくり上げます。代表の宇佐美 康広さんは、「高額なものがかならずしもよい道具ではなく、自分の体やプレースタイルに合ったものがよい道具です」と語ります。湯もみ・型付けは手作業で1週間近くかかるにもかかわらず、この店でグローブを買った人は無料でサービスを受けることができます。
一つ一つ丁寧な手作業でつくり上げていきます。
来店した子どもを元気付ける「熱血指導」も
宇佐美さんは平成6年に東京ヤクルトスワローズに入団し、1軍でプレーした時期もありましたが、身体の故障もあり平成12年に引退しました。引退後は一般企業でサラリーマンとして働いていましたが、子どもの少年野球チームの監督を務めたことをきっかけに、野球への思いが再燃したそうです。「湯もみ・型付け」の修行を経て、ロクハチ野球工房を開業しました。宇佐美さんの腕のよさは口コミやSNSで広まり、現在は戸田市近辺はもちろん、北海道から沖縄まで全国各地から注文が舞い込んできています。店に来た子どもとのコミュニケーションも大切にしており、野球の練習法や素振りのフォーム確認に思わず熱が入ってしまうこともあるそうです。「プレーで上手くいかず伸び悩んでいる子も、この店に来たらまずは元気になってほしいですね」と宇佐美さん。この店のグローブを使って上達した子どもが、宇佐美さんのようにプロ野球選手になる日もいずれ来るかもしれません。
店内ではスイングチェックもしてもらえます。
私は今回、グローブの型付け作業を体験しました。手首に近い「土手」の部分は手を押し付けながら揉みこみ、指関節が曲がるところには、折り目を付けるようにします。球を受け止めるポケットの部分はハンマーで叩きます。宇佐美さんは年間約500個分も作業されているそうです。
宇佐美さんが高校生の時、地元の北海道大会の決勝戦で惜しくも敗れ甲子園出場を逃したそうです。それから20年後に当時と同じメンバー、同じ審判を読んで再試合をした際、相手チームから甲子園の土が入った小瓶を20年越しに受け取りました。野球を通じた熱い思いと交流が、現在でも宇佐美さんの財産になっています。
取材を終えて
市内の各小中学校では多くの少年野球チーム、野球部が活動しており、彩湖・道満グリーンパークの隣には、宇佐美さんが在籍した東京ヤクルトスワローズの2軍球場もあるなど、野球と戸田市は深い関係があります。野球用品の販売に留まらない、野球愛を次世代の子どもたちへと伝えてゆくこの店を通じて、スポーツの楽しさがますます広まっていってほしいです。
ロクハチ野球工房さん、ご協力ありがとうございました!