第38回 市長の全力!まち取材
株式会社泰清紙器製作所
所在地:戸田市笹目北町14-6
1965年に東京都練馬区で創業し、2018年に工場と事業所を統合して戸田市に移転した、貼箱などの紙器製作会社。和洋菓子やブランドのアクセサリーなど、高級感のある製品の貼箱を中心に多様な紙製品を製作する。
中身の魅力を引き立てる多様な「貼箱(はりばこ)」
高級感のあるお菓子やアクセサリーなどのプレゼントを受け取った時、丈夫できれいな外装の箱を一緒にとっておく人も多いのではないでしょうか。泰清紙器製作所では、中身を大切に包装し、商品の魅力をより引き立てる「箱」の製作を多く手掛けています。厚めの紙で作った箱の上に、印刷や装飾を施した紙を貼る「貼箱」を半世紀以上作り続けてきた会社です。和洋菓子やワインなどの食品から、化粧品、アクセサリー、医薬品、カード、書籍、お道具箱など多種多様なものを入れる貼箱を手掛けています。貼箱は、豊富な種類の紙の中から、中身の商品に適した手ざわりのものを選ぶことができ、軽量で持ち運びが簡単なことに加えて強度もあるため、日常的に使われています。「特に海外向けの商品は、プラスチック製の容器から紙製の貼箱に変えるケースが珍しくなく、需要が高まっています」と説明してくれたのは、代表取締役の大木 啓稔(おおき ひろとし)社長です。近年の環境意識の向上に積極的に応えるため、自然環境に配慮した素材からできあがった紙製品も手掛けるなど、業務の幅が広がっています。
社内のギャラリーには多くの貼箱が展示されており、美術館のようです。
箱そのものが「主役」になる商品開発も
貼箱の作成では、展開図の設計やデザイン制作の段階から完成品に至るまで、全てを自社で一貫して対応でき、さらに、自社オリジナルの魅力的な商品の開発にも力を入れています。絵本のイラストが入ったカードの溝に沿って玉を転がす、「玩具」と「絵本」が融合したカード式の絵本「ハコロポン」や、12月1日から25日のクリスマスまでの期間をカウントダウンしながら、小箱を毎日一つずつ開けて小さなプレゼントを楽しめる、箱型の「アドベントカレンダー」など、子どもと大人が一緒に楽しめる商品があります。これらの商品は社外のデザイナーとも協力して開発に至りました。大木社長は「自社だけでなく、製作に携わるみんなが付加価値を高められるものづくりに、これからも取り組んでいきたいですね」と語ります。中身を引き立てるに留まらない、「箱」そのもののポテンシャルを感じることができました。
「ハコロポン」の絵柄はめくっていくと物語のようになっています。
私は今回、のりを塗った外側の用紙を、ティッシュケースに手作業で張り込む作業を体験しました。用紙はコンベアに乗って流れてきますが、ケースの角とぴったり合うようにうまく狙いを定めて貼ります。手先の器用さ、集中力、思い切りのよさが求められる繊細な作業です。
社外のデザイナーやアーティストとも積極的に交流し、商品開発に取り組んでいます。社会福祉法人みぬま福祉会とコラボし、利用者による表現プロジェクト「工房集」で生み出された障害者アート作品を、貼箱のパッケージに取り入れています。
取材を終えて
戸田市は多くの印刷製本関連工場が立地しており、東京都板橋区から埼玉県南部で形成する印刷製本関連業の一大集積地の一部となっています。柔軟なアイデアと社外との積極的な結び付きにより、貼箱の概念にとらわれない多様な商品を開発する、このような企業がますます増え、市内の産業がさらに発展していくのが楽しみです。
泰清紙器製作所の皆さん、ご協力ありがとうございました!