市民医療センター 武田 純一(たけだ のりかず)医師
7月になり、暑さも激しく、熱中症リスクも非常に高まっています。
2024年5~9月の熱中症による救急搬送人員は、全国で97,578人でした。これは調査を開始した2008年以降で最も多く、このうち4割が7月に搬送されました。
子どもは体温の調節能力が十分発達しておらず、高齢者も暑さや水分不足に対する感覚や調節能力が低下してきます。このため、熱中症患者のおよそ半数は高齢者であり、屋内発症や重症例が多いと考えられています。
また近年は職場における熱中症予防も重要で、WBGT値(暑さ指数)を使用した作業環境管理、作業管理、健康管理の徹底、強化が進められています。
熱中症を未然に防ぐために、エアコン、遮光カーテン、すだれ、打ち水などで室内を涼しくしましょう。さらに、吸湿性・速乾性のある通気性のよい衣服を着用し、外出時には日傘や帽子、日陰を利用するなど、直射日光を避けましょう。こまめな水分補給も重要で、特に経口補水液は熱中症対策に適しています。えん下機能が低下している方に向けた、ゼリータイプも市販されています。ただし、一気に摂取するとナトリウムの過剰摂取となる可能性もあるため、心臓、腎臓疾患などがある方は、主治医の指示に従うようにしてください。
さまざまな熱中症対策を組み合わせて、暑い夏を乗り切りましょう。