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広報戸田市 2024年2月号

皆さんは、「脳腸相関」という言葉を聞いたことがありますか。これは、脳の思考や感情が腸の機能に影響を及ぼす一方で、腸の状態が脳の働きにも影響を与える相互作用のことを言います。

例えば、人はストレスを感じると、脳から腸に信号を送り、胃の不快感や便秘、下痢などを引き起こすことがあります。また、逆に腸内環境が悪いと、それが脳に影響して、不安やうつ状態などの精神的な問題を引き起こすこともあります。脳腸相関によるおなかの不調として代表的なものが、「過敏性腸症候群」という病気です。ストレスや緊張などから、腹痛と下痢や便秘などの便通異常を繰り返すのが特徴です。また、発達期の子どもたちに見られる、自律神経やホルモンのバランスの不均衡からさまざまな症状をきたす「起立性調節障害」では、腹痛も主な症状の一つです。

このように、脳とおなかは関連しています。自律神経やホルモン、神経伝達物質、免疫などの働きを介して脳と腸が連携しており、「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」と言われる腸内細菌の集まりが、健康的な精神状態を維持するために重要な役割を果たしている可能性なども研究されています。

繰り返す腹痛や便通異常などがありましたら、医療機関を受診することをおすすめします。

市民医療センター 小児科 軍神 香美(ぐんしん よしみ) 医師


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